ひとり旅に憧れる人、実際に出かける人が増えています。

私たち世代は比較的旅にも慣れているし、みんな忙しくて予定を合わせるのも一苦労。

ならば、ひとりで行ってしまえ!・・・となるのもごく自然な流れです。

今回お会いしたのは、そんな“女ひとり旅のプロ”とでも言うべきフリーの編集・ライターの山田 静さん。

『決定版・女ひとり旅読本』(双葉社)をはじめ、旅のガイドブックや旅行関係の記事を多数編集・執筆するかたわら、『ひとり旅活性化委員会』を主宰する山田さんに、ひとり旅の魅力を伺いました。

 
-山田さんはいつ頃から、旅の魅力にハマってしまったんですか?

 

「はじまりは大学時代です。中文科に入ったのですが、当時のゼミの先輩達がみんな中国自由旅行をしていて、つられて行ってみたら本当に楽しかった。先生方も「中国に行くなら」と単位をおまけしてくれたりして、そこからバックパッカー旅行にはまりました」

 

-いきなりひとり旅で中国ですか。かなりのカルチャーショックがあったのでは?

 

「それまで日本で備えてきた常識が全く通じなくて、価値観を根本からひっくり返されました(笑)

日本なら初対面の人には気を遣ってしゃべりますが、向こうは最初から本音の感情をそのままぶつけてくる。

でもそのプロセスを過ぎると一気に仲が縮まる。そんな体験が刺激的で楽しかったです」
 
-それを楽しいと思ってしまったから、ひとり旅にもハマったんですね
 
「大学時代はずっとアジア中心にバックパッカー旅行をしていました。大学3年のときに中国の奥地で、とある秘境系の旅行会社のツアーに遭遇したのですが、添乗員やお客さんと話していると楽しそうで、こういう仕事もあるんだ、面白いなと思って卒業後、その旅行会社に就職しました。

6年ほどその会社で旅行企画やツアーコンダクターなどをした後、別の旅行会社の出版部や、格安航空券情報誌を製作する編集プロダクションなどを経て、その後フリーの編集・ライターとして独立しました」 
 
-まさに旅行一色の人生ですね。そんな経歴もあって、旅行の中でも、ひとり旅に関するお仕事が多いようですね。
 
「そうですね。特に99年に最初の『女ひとり旅読本』を出してから、そのような依頼が増えました」
 
-雑誌などでもひとり旅の特集などをたびたび見るようになりましたが、ひとり旅をする女性が増えているという実感は、山田さんにもありますか?
 
ha_20140620_1「ありますね。

国内だと人気は京都や神楽坂、谷中などひとり歩きが楽しい場所です。カメラを持って、ひとりで散策している女性を多く見かけるようになりました。海外に行かれる方も増えていますね。

今はLCCも登場して安く飛行機にも乗れますし、おしゃれで女性ひとりでも安心なゲストハウスも国内外に増えています。また、SNSのおかげで情報収集もできますし、フェイスブックやツイッターで旅先のことを発信することで、“一人だけど、独りじゃない”気持ちにもなれるので、女性でもひとり旅に出やすい環境が整ってきたんだと思います」

 

-山田さんが考える、ひとり旅の魅力とはどんなところでしょうか?
 
「自分自身を取り戻すことができる、ということじゃないでしょうか。

女性の場合、まわりに合わせて気持ちが乗らないのに同調しなければいけなかったり、上司や部下に気を遣いながら毎日を過ごしていると思うんです。

ひとり旅に出てしまえば、行く場所、やること、食べる物、全部自分が決めないといけません。

最初はちょっとドキドキしますけれど、“私、実はコレが好きだったんだ”、”私、人見知りだと思ってたけど案外現地の人とコミュニケーションができるんだ”、といった新しい自分にたくさん出会えるのは、とても楽しい経験です」
 
-山田さんもそんな体験をしたくて、ひとり旅に出るんですか?
 
「そうですね。私の場合は、あえてSNSなどが通じない場所に行って、純粋に旅先の体験を楽しむこともあります。ネットがつながると、ついつい『こんな面白いものがあったよ!』などと、友人たちに伝えたくなったりして、楽しいんですが、逆に忙しくなってしまうこともあるんですよね」
 
-あえて日本とつながらない場所を選ぶというのはツウの技という感じがしますが・・・もし、ひとり旅に憧れはあるけれど行ったことが無いという人には、どんな場所がオススメですか?
 
「リラックスを求めてリゾート地などに行ってしまうと、案外やることが無くて退屈だし、淋しくなるので避けた方がいいです。

オススメするのはロンドンやパリ、ニューヨークなど、観るものやすることが多くて公共交通機関が発達している都市。日本でも東京や大阪がそうですが、ひとりでも移動や食事の場所にあまり戸惑わない場所がいいと思います。またそういう場所は、アートやカフェなど、自分なりのテーマを決めて歩きやすいんですね。人目が多いので意外と身の安全を図りやすい、というのも利点です。
行き先に迷う場合は、まずツアーで行ってみるのもおすすめ。知り合いの女性は、タイとカンボジアにパッケージツアーで行って、「バンコクならひとりでも大丈夫」と感じて、以来バンコクを中心に、あちこちひとり旅に出かけています」

 

-『ひとり旅活性化委員会』には、そんな風にひとり旅を楽しんでいる女性たちが集まっているんですよね?
 
「はい。オフ会をやると、みんなそれぞれのひとり旅エピソードや情報を披露しあって、収拾がつかないくらいです。

1月にはバンコクでもオフ会を開催しましたが、そのときは各自ひとりで出発して、滞在中に何度か現地集合して食事したり市場に遊びに行ったり。そのほかの時間は自由行動、という風に楽しみました」


-女性のひとり旅を楽しむ人はまだまだ増えそうですね。最後に、読者にメッセージをお願いできますでしょうか。
 
「こんなことがひとりでできた、こんな場所に行けたなど、ひとり旅をすると“小さな自信”がいくつも身に付きます。

帰ってきたら、きっとひとまわり成長しているはずです。

また旅というのは自分の日常を手軽、かつ一瞬で変えることができます。

何かに悩んでいたり、窮屈な思いがたまってしまったら、安全に気を付けながらひとり旅に出るのもいいのではないでしょうか」

 

◆編集部の一言
その人生は旅でできていると言っても過言ではない山田さん。仕事でもプライベートでもひとり旅を満喫する山田さんの旅に関するエピソードも、記事に載せきれないくらいたくさんお話しいただきました。これからも旅、特に“女性のひとり旅”の魅力を発信してくれるに違いありません。

 

山田 静 さん ha_20140620_yamada

フリー編集・ライター。

旅の編集・ライティングを多数手掛ける。

『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)、『成功する海外ボランティア』(地球の歩き方)、『18歳から23歳までのひとり旅入門』(ジャパンタイムズ)など企画編集多数。

旅行業界誌『週刊トラベルジャーナル』にメディア評「山田静のツレヅレなるままに」連載、ベトナム航空機内誌のbookコーナーなども担当。

雑誌の旅企画、旅行動向調査や各種旅媒体など、旅に関わる幅広い仕事を手掛けている。

1999年には、女子旅を元気にしたいとの想いから『ひとり旅活性化委員会』を結成。


『ひとり旅活性化委員会』ホームページ