■ひとり飲みで、自分に戻ろう

~ところで日本酒って、どんなお酒?

 

皆さんこんにちは。酒器屋.comオーナー、酒器ソムリエの深野 ちひろです。

最近は日本酒を飲む大人の女性も増えていますが、

皆さんこの日本酒ってどんなお酒なのかご存知ですか?

 

一言で「日本酒」といってもぴんからきりまであります。

酒好きたちがよく語る「純米酒」や「大吟醸」といった、

いわゆる高級酒を示す「特定名称酒」は酒税法で条件が定められていますが、

特定名称酒の割合は日本酒全体の3割にも満たないといわれています。

つまり、7割以上の方は”本物”の日本酒を飲んでいないということです。

実はこのお酒は生産量が少ないので、あまり市場に出回っていません。

例えばスーバーで売られている日本酒を飲んで、

「日本酒ってイマイチ」

と思っているとしたら実にもったいない。

ぜひ一度、本物の日本酒を試していただきたいと思います。

 

日本酒の特徴を一言でいうと、多様性です。飲用温度の幅が広いのが最大の特徴です。

四季のある日本のお酒ですから、四季に応じた飲み方があります。

冬はお燗で、夏は冷やして。氷を浮かべてもいいですね。

そして人恋しい秋の季節には「人肌燗」で。お酒が弱い方は、ペリエなどの炭酸で割ってもいいでしょう。

ワインは自己主張があって料理と対立しますが(そのせいで合う・合わないがあるのですが)、

日本酒は融合だと思います。日本酒は料理を包み込み、相乗効果を演出するのです。


ところで日本酒は、どのくらい飲まれているのでしょうか。
1975年に170万キロリットルだった日本酒(清酒)の消費量は、

2013年には60万キロリットルまで減少し、3分の1近くになっています。

地方の酒蔵の軒数も、75年の3200ヵ所から1700ヵ所と大幅に減少しています。

3年前の大震災で被害にあった蔵を支援する動きから日本酒の需要も伸び、

さらに和食が世界文化遺産となったことで、

ここにきて「日本酒ブーム」が到来し、消費はやや上向きになりました。

マイボイスコムの「日本酒に関するアンケート調査」によると、

日本酒を飲むと答えた人の割合は全体の45.4%。

飲用者は男性6割弱、女性3割強となっています。高年代層ほど多い傾向で、

男性50代以上ではほぼ7割です。

 

どこで飲むかというと、日本酒を自宅で飲む人が6割以上となっています。

女性20代では、お誘いが多いのか外で飲む人が他の年代より多くなっていますが、

男女共年代が高いほど自宅で飲む人が多い傾向が見られます。

 

日本酒をあまり飲まない理由というのも調査されています。

それによると、

「味が好きではない」

「悪酔いする、気分が悪くなりやすい」

「酔いやすい」

「アルコール度数が高い」

「二日酔いになりやすい、翌日に残る」

などが上位です。

もしかして若い頃、安いお酒を無理やり飲まされた経験があるのではないかしら、

と思ってしまいます。

 

日本酒のイメージは、「伝統的」が最も多く、

「大人向け」「悪酔いする」「香りがよい」「男性向け」などが続きます。

日本酒を週1回以上飲む人に聞いてみると、

「香りがよい」「飲みやすい」「一人で楽しむ」「親しみやすい」「飲みごたえがある」「家で飲む」などが多くなります。

古臭くておやじのお酒という印象を持っている方もまだまだ多いですかね。
その一方で、ひとりで家で飲む、という方もいらっしゃるようで。

 

そもそも年中行事にはお酒がつきものです。

お正月には延命長寿のためにお屠蘇を飲むし、

季節の境目には酒盛りして骨休めをしていました。

平安時代の政治はすなわち”祭事”であり、

その際のハレの日の食事として酒は不可欠のものでした。

当時お酒は宗教儀礼的要素が強かったようです。

 

花見、月見、雪見、のように四季折々の自然を愛でるときもお酒は欠かせません。

結婚式には三三九度をし、家を建てるときは酒を使って儀式をします。
つまりは、日本酒は日本人の生活に根ざしている日本文化なのです。

 

さらに、お気に入りの酒器があれば、家でお酒をたしなむ楽しみが生まれます。

酒器は時間や空間を演出するアイテムです。

大切な酒器を使うためには、わざわざ座ったり、

丁寧にお酒を注いだりといったゆとりが必要です。

そしてまた、手のひらにのせて幸せを運ぶアイテムです。

手にのせた瞬間から、お酒の楽しみが始まります。

自分時間を取り戻せたら、

「ああ、今日は桜が咲いたな」とか「空が青かったな」とか、素敵な風景が思い出せるかもしれません。

そして、今生かされていることに感謝できたり、日本人であるワタシがちょっと好きになるかもしれません。

 

参考文献:
国税庁「平成26年3月酒のしおり」
マイボイスコム・アンケート調査のデータベース「2014年02月日本酒に関するアンケート調査(第4回)」

 

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深野 ちひろ さん ha_20140820_fukano

酒器屋.comオーナー/酒器ソムリエ


大学卒業後、大手電機メーカーに就職。OL時代はフランス料理とワインの魅力に惹かれ、フランス中を旅行。その反動もあってか次第に日本の良さに目覚め、日本酒の輸出・卸の会社へ。アメリカ・イギリス・アジア各国の日本酒事情の調査や視察を行う。飲食店の企画をした際、小鹿田・有田・唐津・輪島塗の酒器に出会い、感銘を受ける。その後、独立して酒器のネットショップを手がけるとともに、日本酒と日本文化の魅力をネットで発信している。趣味は神社めぐり。日本文学専攻。

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