■ひとり飲みで、自分に戻ろう

~酒器にこだわると、日本酒の味がもっと楽しめます

 

皆さんこんにちは。酒器屋.comオーナー、酒器ソムリエの深野 ちひろです。
日本酒は季節や料理に合わせて、燗・ひや(常温)・冷酒など様々な温度でおいしく飲めるお酒です。

冬から春にかけての新酒の季節には、ひやで。
夏は冷めたく冷やして、あるいはロックで。
冬は熱燗で。

こんな風に日本人は、四季の味をお酒の温度を変えて味わってきました。

 

日本酒には甘味・酸味・辛味・苦味・渋味の五味があるといわれていますが、お酒に含まれている様々な糖分、有機酸、アミノ酸などがお酒の複雑な旨味を形作っています。

その日本酒を飲むための器(酒器)は、飲み方の多様性や文化の中で、いろいろな材質や形状のものが生まれてきました。


酒器は素材別に見ると、陶器、磁器、ガラス、漆器、錫などがあります。

素材による特徴が出やすいのは、手に持った時の感触と口当たりです。

また素材によって温度変化の時間も変わってきます。

一般的に磁器やガラスは温度が上がりにくいので冷酒によく、陶器は保温性があるので燗酒に適しています。

 

素材による特徴は以下のようになります。

 

陶器
土がもつ柔らかみがあり、素朴な形と自然の風合いが調和した陶器は、佐賀県の唐津焼、岡山県の備前焼などがあり、ふたつとして同じものが焼けない貴重なものもあります。

茶道に使用する茶碗作りが発展した産地では、酒器も作られるようになりました。

「一楽、二萩、三唐津」が茶人に愛好されていました。

 

磁器
艶やかでフォルムが美しい磁器は、佐賀県の有田焼、石川県の九谷焼など、職人の技術を駆使した絵柄が印象的です。

湯煎した時に温度の伝わり方が穏やかなので、まろやかな燗酒になるといわれています。

 

金属
金属は熱の伝導性に優れていて、注がれた日本酒の温度が保たれやすいという特徴があります。

金属の種類によっては、イオンが酒の雑味をまろやかにするという説もあります。

 

ガラス
冷酒なら涼しげなガラスの酒器が似合います。

透明なガラスの器であれば、熟成酒やにごり酒、樽酒など、色に特徴のある酒を飲む際に、味わいとともに見た目でも楽しむことができます。

 


天然木のものから漆を塗った伝統工芸品まで、昔ながらのぬくもりが伝わります。

枡や竹製品などのようにほのかな移り香を感じさせるものもあります。


ha_fukano_20141020_1器には材質による演出の役目もありますが、形状によって香りや味わいを高めることもできます。

たとえば口が広がっている器(写真上)は、香りも広がります。

内側にカーブしている器(写真下)は香りを器の中に閉じ込めるので、器の中の香りを堪能できます。

口が広がっていると、飲んだ時に舌の両脇にお酒が流れ込むので、酸味を感じやすいともいわれます。

反対に、内向きだと酸が抑えられ、甘みを感じやくなります。

 

 

ha_fukano_20141020_2また、冷酒は大ぶりの器で飲んだ方がおいしく感じ、お燗なら小ぶりのものが凝縮感が出ておいしく感じるという意見もあります。

 

このように、日本酒は酒器の違いで味や香りが変わりますので、その日の気分やお酒の種類によって、酒器を使い分けると日本酒がもっと楽しくなります。

 

 

 

 

 

酒器を選ぶ際の基準は4つあります。

 

1.酒器の容量
器に入る酒の量によって、立ち上がってくる香りの量や味わいが変わってきます。

また小さめのものは、温度変化が起きやすいです。

 

2.酒器の口径
口径(口の広さ)によって器に注がれた際の表面積の広さが変わります。

表面積が増えると酸化速度と芳香成分の揮発量が上がり、香りもより感じられるようになります。

 

3.酒器の形状
丸みを帯びているか、広がっているかなどの酒器の形状です。

口が上に広がるタイプの器はフレッシュな香りをより引き立たせ、口径よりも真ん中が広いタイプは香りを控えめにし、濃醇な味わいを引き立たせます。

 

4.酒器の厚み
素材の厚さも口当たりに大きく影響します。

薄手のものは口当たりがシャープで、味が繊細に感じられ、厚手のものは口当たりがやわらかく温かみを感じます。


香りをより楽しむためには、ワイングラスで飲むのもいいでしょう。

雰囲気がちょっとおしゃれになりますね。

 

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深野 ちひろ さん ha_20140820_fukano

酒器屋.comオーナー/酒器ソムリエ


大学卒業後、大手電機メーカーに就職。OL時代はフランス料理とワインの魅力に惹かれ、フランス中を旅行。その反動もあってか次第に日本の良さに目覚め、日本酒の輸出・卸の会社へ。アメリカ・イギリス・アジア各国の日本酒事情の調査や視察を行う。飲食店の企画をした際、小鹿田・有田・唐津・輪島塗の酒器に出会い、感銘を受ける。その後、独立して酒器のネットショップを手がけるとともに、日本酒と日本文化の魅力をネットで発信している。趣味は神社めぐり。日本文学専攻。

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