■ひとり飲みで、自分に戻ろう

~ひとり飲みを楽しむ日本酒講座2(お米の種類・ラベルの見方)

 

皆さんこんにちは。酒器屋.comオーナー、酒器ソムリエの深野 ちひろです。

 

日本酒の基本的な情報は、そのラベルに書いてあります。

つまりラベルを見ると、その日本酒の味わいが推測できるわけです。


日本酒のラベルは「胴ラベル」「肩ラベル」「裏ラベル」の3つに分類できます。

胴ラベルは表側に貼られ、日本酒の名前や特定名称が記されていることが多いです。

ボトルの肩のあたりに横帯やたすき状に貼られているのが肩ラベルで、酒のタイプや仕上げ方法などその日本酒がアピールしたいポイントが記されています。

ラベルは日本酒の顔であり、酒の成り立ちに関する様々な情報を公示する役割をになっています。

ラベルに記載しなければいけないことは、国税庁の「清酒の製法品質表示基準」によって定められています。

お酒の特徴を示すキーワードが記載されていることがあります。

 

■酒の状態を表すキーワード


●無濾過
搾った後、濾過していない酒。


●原酒
通常、酒は加水してアルコール度数を調整して出荷するが、この加水を行わずに出荷する酒のこと。


●にごり酒
目の粗い布で軽くこした酒。とろみがあり、酸のある味わい。


●生酒・生詰め・生貯蔵酒
通常出荷までに火入れを2回行うが、火入れをまったく行わないものを「生酒」、火入れを1回したものが「生詰め酒」、2回したものが「生貯蔵酒」。


●特撰・上撰・佳撰
酒造メーカーによっては、かつての酒税法に基づく級別制の特級酒を「特撰」、一級酒を「上撰」、二級酒を「佳撰」として発売している。

 

 

■搾る工程を表すキーワード


●あらばしり・荒走り
上槽(*)の際、一番最初に重力のみで滴る液体のこと。少量しか取れず、華やかでフレッシュ。

 

(*)上槽(じょうそう)

醪(もろみ)を搾り、酒と酒粕に分ける作業。


●中汲み・中取り
上槽の際に2番目に採取する液体のこと。香味のバランスに優れている。


●責め
上槽の際に最後に採取する液体のこと。雑味が多く味が濃い。


●しずく取り・袋吊り・斗瓶囲い・雫酒
上槽の方法の一つ。醪を袋に入れて吊り、そこから滴る液体を詰めた酒のこと。


●槽しぼり
昔ながらの方法で酒袋に醪を入れて重ね、ゆっくりと圧力をかけてしぼった酒のこと。

 

また、日本酒のラベルには「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」などが書いてある場合があります。

これらは日本酒の味わいを数値化したものです。


●日本酒度
日本酒度とは、日本酒の比重を表示するために設けられた単位です。

日本酒度は、15℃のお酒に専用の浮秤(日本酒度計)を浮かべて測定します。

ブドウ糖は水よりも重いため、日本酒度がマイナスであればあるほど、その日本酒には多量のブドウ糖が含まれていて、甘口になります。


●酸度
酒の味に酸味や旨味をもたらす有機酸の量を相対的にあらわす数値です。

日本酒の製造過程で酵母や麹、米から発生した乳酸・コハク酸・クエン酸・リンゴ酸等の酸の量です。

10mlの酒を中和するのに要する水酸化ナトリウム溶液の量を量ります。


●アミノ酸度
酒のコクや旨味のもとになるアミノ酸の量を相対的にあらわす数値です。

日本酒には、グルタミン酸、グリシン、アルギニン、チロシン、セリン、ロイシンなど約20種類のアミノ酸が含まれています。


またラベルに使用されている米の種類が書いてあったら、大きなヒントとなります。

お酒は米と水からできていますので、米は味わいの決め手になります。
酒造りに使われる米は普段食べている飯米とは異なり、「酒造好適米」または「酒米」といわれ、日本酒専用の米です。

飯米より大粒で低タンパク、低脂質であり、米の中心に心白(しんぱく)と呼ばれるでんぷん質が集中している部分があるのが特徴です。

生産量は米全体の1-2%ですが、栽培品種は90種以上に及びます。

皆さんも聞いたことがあるかもしれませんが、「山田錦」・「五百万石」・「美山錦」という3種で全体量の3分の2を占めています。

3割以上が2000年以降の新しい品種で、その数はどんどん増えています。

幻の米を復活されるプロジェクトも盛んです。

酒造に適した米の代表的なものは以下の通りです。


●山田錦(やまだにしき)
人気・実力・知名度が高く、作付面積第1位の「酒米の王者」ともいうべき酒造好適米です。

 

●五百万石(ごひゃくまんごく)
米どころ新潟の県産米生産量が500万石を突破したところから昭和32年に命名されました。

安定した酒質で、シャープで落ち着いた味わいの酒になります。

 

●美山錦(みやまにしき)
酒造好適米であるたかね錦の突然変異種として昭和53年に誕生した、比較的新しい品種です。

出来上がった日本酒には米の味が残ります。

 

●雄町(おまち)
江戸時代末期に栽培が始まり、品種改良されることなく100年以上栽培されている唯一の品種です。

昔の米らしい、野性味、幅のある複雑な味わいが、優等生的な山田錦とは対照的です。

 

●出羽燦々(でわさんさん)
粒が大きく、水を吸いやすい軟質の米で、山形県を中心に栽培され、やわらかくて幅のある、さわやかな飲み心地の酒になります。

 

●八反錦(はったんにしき)
広島を代表する酒米ですが、八反錦2号の産地は新潟などの県外にも及びます。

すっきりと上品な酒質向きです。

 

●愛山(あいやま)
芳醇旨口と呼ばれる昨今の酒質トレンドの中、にわかに注目を集めるようになりました。


もうひとつの原料である水ですが、日本酒の成分の80%以上は水であり、日本酒の味は水で決まるともいわれます。

蔵では自家の井戸水や湧き水、伏流水を使っています。

一般的に硬水で仕込んだ酒は骨格がしっかりした辛口に仕上がり、軟水で仕込んだ酒は、口上りがわやらかうまろやかな味に仕上がるといわれています。


水は酒を仕込む以外にも、米を洗ったり、米に水分を吸わせたりするのに使うので、酒造りに使われる約10倍の水が必要になります。
また水に含まれるミネラル類も酒造りには重要で、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分や塩類を多く含む硬水で仕込むと、麹菌や酵母の栄養となり、発酵がよく進み、キレのよい酒になります。

ミネラル分が少ない軟水で仕込むと、発酵は穏やかに進み、甘みのある酒になります。
日本は国土全体が良質の水に恵まれており、銘醸地と呼ばれる地区には必ず良い水が豊富に湧いています。

 

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深野 ちひろ さん ha_20140820_fukano

酒器屋.comオーナー/酒器ソムリエ


大学卒業後、大手電機メーカーに就職。OL時代はフランス料理とワインの魅力に惹かれ、フランス中を旅行。その反動もあってか次第に日本の良さに目覚め、日本酒の輸出・卸の会社へ。アメリカ・イギリス・アジア各国の日本酒事情の調査や視察を行う。飲食店の企画をした際、小鹿田・有田・唐津・輪島塗の酒器に出会い、感銘を受ける。その後、独立して酒器のネットショップを手がけるとともに、日本酒と日本文化の魅力をネットで発信している。趣味は神社めぐり。日本文学専攻。

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