もしアナタが親の介護に直面した時、気になるのはどんなことでしょうか?

親の状態はもちろんのこと、「自分の人生がこれからどうなるのか」もとても心配になると思います。

介護のために出世をあきらめた、キャリアチェンジせざるをえなくなったといったケースは少なくありません。

各種の介護サービスも、介護される本人をケアするものはありますが、介護する側をサポートしてくれるサービスはほとんどありません。

そんな中、10年間に渡る自らの介護経験を活かし、介護する側のサポートに取り組む女性がいます。

POLE・STAR株式会社ディレクター 佐久間 理央さんです。

今回はいざという時、私たちの心強いサポーターになってくれる佐久間さんにお話を伺いました。

 

-佐久間さんはこれまで、どのようなお仕事をされてきたのでしょうか?

 

「事務の仕事などをしていましたが、介護保険制度のスタートと同時にたまたまご縁があって、渋谷区の福祉施設の管理運営をしている社会福祉法人に勤務することになり、介護保険事業に関わることになりました。

その後は渋谷区の社会福祉協議会で、地域福祉に携わる仕事をしていました」

 

-そのようなキャリアの最中、お父様が介護状態になられたのですか?

 

「私が30歳の時に大動脈瘤解離という心臓の病気で倒れて、その後はずっと介護をしていました。

痴ほう症では無かったのですが、アンモニア障害や意識障害などもあり、心臓に爆弾を抱えていましたので、いつ何があってもおかしくない状態でした」

 

-10年間の介護期間というのはとても長く感じられますが、ご自身としてはいかがでしたか? 精神的にも疲れ果てたといったことはなかったですか?

 

20141020_1「うちは母も福祉関係の仕事をしていたというのもあって、二人そろって何かあってもしかたないよね、と割り切っていました。

父は旅先で倒れ、‘その日中に島根の石見銀山の近くの病院まで来い’というお医者さんの連絡から介護が始まるという、いつどうなってもおかしくない状態だったから、ということもあるかもしれません。性格というのもあるかと思いますが。

またいつも母親と話していたのは、“自分も生きているんだから、自分の人生を大切に”ということでした。

冷たい言い方かもしれないですが、死の淵にある人の犠牲になって自分のやりたいことを我慢したら、一生後悔するし親を恨んでしまうと思います。

ですのでその10年の間、私は普通に仕事もしていましたし、ずっと行きたいと思っていたデンマークにも1か月間行ってきました。

もちろんだからと言って親を見捨てるというのではありません。できる範囲でのケアをしながらということです」

 

-そのようなご自身の経験をもとに、介護する側をサポートするという珍しいサービスを立ち上げられたわけですが、起業するにあたってどういった想いがあったんですか?

 

「介護ももちろんそうですが、それ以外にも女性が生きていくにあたっては、大小問わずいろいろと悩みや迷いがあると思うんです。

ただ見回してみると、そういったなにげないことを吐き出せる場って案外ありません。

友人や会社関係の人とも何かしら利害関係があるので、本音の部分をストレートに言うことは意外とできないものです。

特に年齢が若く介護をしなければならない状況になると、親の介護ではなく、祖父母の介護を親がしているとか、うちは子育てが・・・とかになってしまう。周りにあまり同じ状況の人がいないんです。

自分の人生だけではなく、突然、親の人生と自分の人生を背負わなくてはいけなくなる。自分の人生なのにどこにいるのか、どこに行けばいいか、見失ってしまう。仕事もあるし、やりたいことだってある。なのに身動きが取れなくなるような、窒息するような・・・介護だけではなく、そう感じるときってあると思うんです。
だから、今自分が人生のどこにいるのか、どうしたいのか、それ以前に、なんとなくモヤモヤして不安だ、自分の毎日がなんとなくつまらないといったレベルの話、詰まる所グチでもいいので聞いてあげられるサービスを提供したいと思ってはじめました。

ただやはり経歴や経験もあるせいか、介護についてのご相談が多いですね。

介護することになった人はとかく孤立しやすいので、そのハケ口になれればいいとも思っています」

 

-佐久間さんが考える、理想的な介護のしかたというのはどんなものでしょう?

 

「まずは親が老いていくということ、介護が必要な状態になったということを正面から受け止めること。介護する側は今まで生活していた状況を全て変えてしまおうとするのではなく、親と共に一時を生きていくようにすることです。そのためにも介護に関するいろいろなサービスを知って、有効活用することです。

それから仕事は絶対にやめないでほしいです。

というのも介護のために仕事を辞めてしまうと、毎日が介護のことだけになってしまいます。

介護しかない状況になってしまうと、介護に行き詰まりを感じたり、介護が終わった時に社会から孤立している自分に愕然としてしまい、立ち直るのがなかなか難しくなると考えるからです」

 

-残された親の時間も、自分の時間も大事にするということでしょうか?

 

「バランスを取ることが大切だと思います。

ただしやはり自分の人生は自分のもの。

親への感謝は忘れないでいつつも、自分が後悔しないように毎日を送ってほしいです」

 

 

◆編集部の一言

介護をしながらも自分の人生を大切にする。言葉で言うほど楽なことではないとは思いますが、まずはそのように考えることが家族の為、そして自分のためになることなのかもしれません。10年間の介護について明るく話す佐久間さんは、そんな生き方をする上で心強い存在になりそうです。

 

佐久間 理央 さん 20141020_sakuma

POLE・STAR株式会社 ディレクター

 

大正大学大学院人間研究科修士課程修了(社会福祉学)。
私立国際武道大学、社会福祉法人武蔵野療園、社会福祉法人渋谷区社会福祉協議会等を経て現在POLE・STAR株式会社を設立。

主に福祉や生活に関する相談、コンサルティングを行っている。

 

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