今回は、保険会社が取り扱う民間の介護保険についてお話したいと思います。

公的介護保険については過去のコラムで触れさせて頂きましたが、これは40歳以上の方全員が保険加入者(被保険者)となって保険料を負担し、ご自身が住んでいる市区町村が保険者となって介護保険法の下運営されている社会保険制度です。

これに対して民間の介護保険は任意保険、つまり利用するしないをご自身の希望によって決めることができます。

仕組みとしては生命保険(死亡保険)などとよく似ています。

 

●保険期間

民間の介護保険の場合、保険期間は終身と定期に別れてくるので注意が必要です。

終身とはその字の通りその方が亡くなるまで。定期は決められた年齢に達するまで。

保険料の支払い、保険金の受け取り両方に関わってくるので、自分が加入する保険がどのようなタイプなのか把握しておくことが大切です。
介護はいつまで続くかが分からないため、一生涯補償が続く終身タイプの方がお勧めです。

 

●保険金給付
介護一時金と介護年金タイプに分かれたもの、また混在タイプが存在します。
介護一時金は要介護が所定の状態になった時、まとめて数百万円が支払われます。

活用方法としては有料老人ホームの頭金に使う、自宅のバリアフリー改修費用に使う等まとまった用途の為に備えると良いと思います。
介護年金は基本年金額を120万円などと設定し、毎月10万円ずつ支給してもらいます。

活用方法は公的介護保険での不足分や一割負担に充てたりします。

 

●保険料の支払い方法
民間保険は保険料の支払い方法で大きく定額型と更新型に分かれます。

定額型は契約時の保険料が一生涯変わりません。

これに対し更新型は10年、15年等々期間が設定されており、更新時期に保険料が上がる仕組みになっています。

なぜなら若い時よりも年を取ってからのほうが保険支払の可能性が上がるからです。
特徴を簡単にまとめます。

 

《定額型》

メリット・・・トータル支払い保険料が安い。支払い期間を掛けるだけで、総額いくら払うかが計算しやすい。

デメリット・・・支払い開始時期の保険料が高いことが多く、収入が低い時には毎月負担が大きい。

 

《更新型》

メリット・・・支払い開始時期の保険料が安いことが多く、収入が少ない時期の負担を抑えられる。

デメリット・・・トータル支払い保険料が高い。更新時期にいくら上がるかが分かりにくく総額支払いの計算がしづらい

 

そして保険料の払い込み期間です。

65才払い込み満了であれば、概ね給与所得があるうちに支払い終わりますが、終身払い契約になっていると年金や貯金を崩して払い続けることになります。

またある年齢を超えると総額支払いが高くなるのも終身払いの特徴なので、支払い期間が定まっているご契約をお勧めいたします。

 

●加入年齢

公的な介護保険と違い、加入するための年齢制限が無い(40才未満の人も加入することができる)というのも特徴です。

 

公的な介護保険を利用しても1割の自己負担は残るので、民間の介護保険を活用することは安心にはつながりますが、いくつか注意しないといけないポイントがあります。

 

①補償額は適切か
民間の保険は主契約と特約から構成されています。

特約はいわゆるオプションで、必要だと思う補償を追加でトッピングできるのです。

特約を追加していくと万が一の際確かに補償範囲は広く厚くなるのですが、さして必要でない保障にもお金を支払っているケースがよく見られます

ご自身で起こる可能性が限りなく低いと思われる特約をわざわざ買う必要はありません。その分貯蓄に回したほうがよいと思います。

以前、独身女性の証券診断をさせて頂いた際に、死亡保険金が1億円近く保障されているご契約がありました。ご両親も他界されており、特にお金を残す必要はないそうなのですが、営業の方に勧められるがままご加入されていたケースです。

 

②給付条件を確認
保険金受け取りの条件は、要介護度によって決まってきます。
この要介護度は各社2~4で設定されており、保険金を受け取れるかの難しさが違います。

ここに気になるデータがあります。厚生労働省が発表している、要介護度の割合を示したグラフです。

(厚生労働省「平成23年度 介護保険事業報告書(年報)より)

 

kaigo_20140830_1このグラフに照らし合わせて考えると、仮に要介護2から支払うとなっていた場合、認定者の半数以上が受け取れることになるのに対し、要介護4からだと支払い対象に該当するのは少し難しいということが言えます。
ここで覚えておいて頂きたいのですが、多くの場合介護度は緩やかに進むケースが多いのです。

認知症も徐々に進行していき、一人では危ないので目が離せないという状況になってきます。

ですがそれまでの期間も介護状態であることには変わりありません。

要介護1だからお金がかからないか?というとそんなことはなく、生活が不自由になる分に関して何らかの準備は必要になってきます。

つまり民間の介護保険を活用しても、介護のすべてをまかないきれるわけではない、ということです。

 

介護は誰にでも起こりうる未来ですが、備え方は人それぞれ。保険は一つの方法でしかありません。

家族で支えあえる人が多ければそれ程必要のないお金でも、独身で老後を迎えた場合、介護が必要になったら多くを人に頼らなければなりません。それなりの準備は必要です。
最後に保険会社や金融機関を選ぶ基準の一つで、【ソルベンシーマージン比率、格付け情報】等も参考にされると良いかと思います。

これは保険会社の健全性や信頼度になります。長期間でお金を任せるのですからこれらの数値が高いに越したことはありません。大切なお金ですから信頼出来る機関に任せましょう。

 

吉田 要 さん koro_yoshida_2

獨協大学経済学部経営学科卒業 ファイナンシャルプランナー(AFP)
平成25年6月より介護マネーに特化したファイナンシャルプランナー事務所 レイズコンサルティング株式会社を開設。また東京都江東区内にてデイサービスホーム(通所介護施設)も運営し、実際の介護の現場にて多くの高齢者の方々の 介護援助も行っている。