みなさんこんにちは。
介護と保険に特化したファイナンシャルプランニング業務を行っている、レイズコンサルティング株式会社代表の吉田 要です。
2回目となる今回のコラムでは、「介護施設の種類」というテーマでお送り致します。


介護保険に馴染みのない方は、「一定の年齢になったら介護施設にいつでも入れる」と勘違いをされていることが多いのですが、第一回目のコラムでもお話しした通り、まずは要介護申請をして、その後、地域のケアマネージャーさんと相談しながら介護のスタイルを決めていくという流れになります。

親の介護をするスタイルを大きく分けると
① 親に介護施設に入所してもらい、定期的に会いに行く。
② 基本は自分達で介護を行い足りない部分に関して在宅サービスを活用する。
の二つになります。

どのような介護の形を選ぶかについては、家族の負担(金銭的・時間的・体力的・精神的等)と、親の希望を上手くマッチングさせて、ケアプランニングを行うことが大切です。

①の介護施設と言うと一般的に「老人ホーム」とひとくくりにされることが多いですが、実はその内容によって様々な種類があります。
ここでは、代表的な施設をいくつかご紹介します。


●特別養護老人ホーム(特養)

公共型老人ホームの代表です。民間の施設に比べ費用が大幅に安く、入居金も不要です。(月利用料6万円~15万円)また終身入居が可能です。
ただし、待機者が多いためなかなか入居できないというのが今の状況です。
将来的には、要介護度3(要介護認定の結果、判定される等級)以上という重い状態でないと入所出来なくなる方針です。


●老人保健施設(老健)

病院から自宅に戻る際の、機能訓練のための介護施設です。
特養同様公共型で入居金は係りません(月額利用額は8万円~17万円)。
原則的に入居は6か月までで、長期入所はできません。


●介護付き有料老人ホーム

介護保険法に基づいて生活介護の指定を受けた民間の有料法人ホームです。
介護サービス費用が基本的に定額で、自立型は共用部分が充実しています。
公共型と違うのは費用面。入居するための一時金が0~1億円以上。月額利用料は12万円~35万円程係ります。
当然高額な施設では利用者さん一人当たりの介護職員人数は手厚くなりますし、食事の質や個室の広さ、施設のグレードも高くなります。


●サービス付き高齢者向け住宅(サ住高)

安否確認や生活相談などのサービスが付いた賃貸集合住宅で、民間型です。
入居金は敷金のみのところが多く、月額利用料は5万円~20万円程度。
生活の自由度が高い反面、介護サービスは外部業者を利用する為、施設によってサービス面・設備面のばらつきがあります。
現在国がバックアップして施設を増やしている為、介護専門業者以外が異業種参入をしてきて開設しているケースが多くなってきています。


また、②の在宅サービスを行ってくれる施設の代表的なものが、
通所介護施設(デイサービス)
です。

在宅サービスの代表で、公的な介護保険を使って利用できます。
朝9時から夕方16時頃まで預かる保育園のような形、と言えばイメージし易いかと思います。
施設の車がご自宅までお迎えに行います。
来所後はバイタルチェックを行い入浴、レクリエーション、食事をして頂き、機能訓練や手芸、カラオケなどを行い、ご自宅までお送りします。
施設によって定員やサービス提供の内容も異なります。機能訓練メインの施設もあればレクリエーションが充実している施設もあります。

この他には訪問介護サービスや、短期間入所のショートステイなどがあります。


この介護施設選びに関して、実際にあったご相談についてご紹介いたします。

相談者は39歳の独身女性。正社員として都内勤務。23区内で1LDKのマンションを購入され、通勤時間は約30分。
お父様が他界され、現在71歳のお母様が都内近県の戸建て住宅で独り暮らし。
相談者である女性に今後の結婚願望はあまりなく、なるべく早くマンションの繰り上げ返済を済ませてしまい、定年までにご自身の老後資金を堅実に貯めていきたい希望あり。
しかし最近、今はまだまだ元気なお母様の存在が心配になってきたとのこと。
ご実家からの通勤は1時間半以上かかり、今更東京を離れることには抵抗がある。
お母様とご自身のマンションで一緒に暮らすには、狭すぎてプライバシーが保てないという問題もある。しかし近い将来一緒に暮らさなくてはと色々悩まれておりました。

このご相談に対して私としては、ご実家の不動産を売却、もしくはリバースモーゲッジ(自宅を担保に銀行から融資を受ける)で現金を作り、そのお金でご相談 者のマンション近くのサービス付き高齢者住宅を借りてみてはどうか、というアドバイスをさせていただきました。
相談者は仕事帰り、お母様宅に気軽に立ち寄れるし万が一の際もすぐに駆け付けられます。
まだ元気な二人が無理に同居することは却って気疲れもしてしまうかもしれません。


親に多額の財産があれば介護の選択肢は増えます。
しかし、そうではない場合は当たり前ですが、実現可能なサービスを選ばなければなりません。
現在は施設の種類やサービスメニューも多様化してきています。
なかなか切り出しにくい話題ではありますが、ご両親がまだまだお元気で、判断力があるうちに将来の介護の方向性を決めておくことをお勧めいたします。

 

吉田 要 さん koro_yoshida_2

獨協大学経済学部経営学科卒業 ファイナンシャルプランナー(AFP)
平成25年6月より介護マネーに特化したファイナンシャルプランナー事務所 レイズコンサルティング株式会社を開設。また東京都江東区内にてデイサービスホーム(通所介護施設)も運営し、実際の介護の現場にて多くの高齢者の方々の 介護援助も行っている。