旅先で倒れた父の看病から始まった我が家の介護生活であるが、何時からが介護なのか、あまり認識がない。

 

のっぴきならない状況なのでと有給休暇を取得しつつ、職場への説明も「とりあえず、よろしくお願いします。」という感じだった。

動かすことができない重病だったので、有給休暇を使うしかなかったのだ。


病状が変わってから、介護休暇とか、介護休業を取ってとか考えないといけないと思いながら、何時まとまった休暇が必要になってくるのか全く読めない状況では、それが‘今’なのか‘何時なのか’まったくわからない。

取得に制限がある以上、まとまった休みを取るのは、今よりももっと必要になった時の方がいいのかもしれない。

とりあえず半日~数日あれば何とかなるのなら・・・と、ずるずると有給休暇を使いながら、細々と一つずつ必要な要件をこなしていくという感じであった。

 

有給休暇は毎年繰り越している分があったが、介護保険の手続きで区役所へ、病院で先生からの説明を受けてくださいと言われ早退等々、いろいろに時間を取られ、あっという間に無くなりそうな勢いであった。

特に倒れた旅先から連れて帰るまでは、母と交代で東京から島根県の石見銀山近くまで何往復かしているので、年次有給休暇がなくなるのではないかと、内心は冷や冷やしていた。

 

そうなってくると、自分のために有給休暇を使うのが怖いというか、もったいないというか、自由には使えない気分になる。

すべてを制限し、諦めてたわけではないが、必要になるかもしれないから、といつも気にしていた。

頻繁に有給休暇を使わなければならないとなると仕事の面でも多かれ少なかれ支障が出てくるし、上司や同僚へも様々な面で迷惑がかかる。そんなことも気にかかる。

いっそのこと、介護休暇や介護休業を使えばよかったのだと思うが、例えば3か月の介護休業を取得するのにも、何時のタイミングがベストなのかは、まったくわからない。

そうなると1回のチャンスを無駄にできないのだ。

そんなこんなで私は残念ながらチャンスを見いだせないまま、介護休暇は使わず介護生活は終了となった。

 

旅先で父が倒れたことから始まった介護生活なので、職場のほとんどの方が、父が介護の必要な状況にあると否応なく知られていた。

そのことについては、職場に知らせなければならないタイミングであるとか、どこまで知らせるかとか、休暇取得の言い訳を考えるといった煩わしさはなく済んだのだが、考える間もなく、今できることを対応していくしかないという状況で介護がはじまり、介護休暇や介護休業を使わずに終わってしまった。

 

振り返ってみると、どのタイミングで取得できたのか冷静に判断できるが、その当時はとりあえず目の前のことしか見えない。

介護保険の申請や情報収集等、最初がやはり時間もかかるし、一気にいろいろなことをしなければならない。

全体像が見えないので、余計に時間や手間がかかることにもなる。

家での生活をどうするのか、リハビリ等の施設は利用できるのか、どのような組み合わせにすれば父の生活にかかりきりにならなくていいのか等、まとめて考えなければならない、嵐のような状況が一時続く。

しばらくすれば落ち着くが、それまではバラバラと、しかも一時期にやってくる。一つ一つ対応するしかないのだ。

 

例えば、思い切って最初の段階で介護休業を取得してもよかったのではないかと思う。

情報を集め、手続きさえしてしまえれば、その時は慌ただしくても、先々が楽になったかもしれない。

 

ただし様態が変わってきた時は、今まで通りのサービスでは難しい状況になってきたとか、思うようなサービスを受けられる施設を探したい等、施設に見学に行ったり、話を聞いたりする時間がとにかく必要になる。

 

仕事をしながらの介護、介護休暇や介護休業の取得は難しい問題だとわかっているが、介護する側がつぶれないように、制度を活用することも大切な選択の一つとなると思う。

そして、まだ余裕があるうちに、機会があれば、勤務先の就業規則等をもう一度確認しておくことをお勧めする。

時が来てからではなかなか、手も頭も回らなくなるからだ。

 

●親の介護とキャリア 気になる話題

「介護のための両立支援制度について」

 

家族の介護をつづけながら就業を続けている方へ、両立できるように支援するための法律があります。

 

○介護休業

対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに1回、通算して93日まで、介護休業をすることができます。

 

○介護のための短時間勤務制度等の措置

事業主は下記いずれかの措置を講じなければなりません。

①短時間勤務制度

②フレックス制度

③始業・就業時刻の繰り上げ・繰り下げ(時差出勤制度)

④介護サービスを利用する場合、労働者が負担する費用を助成する制度その他これに準ずる制度

 

○介護休暇

対象家族が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、1日単位で休暇を取得することができます。

 

○法定時間外労働の制限

事業主は1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはなりません。

 

○深夜業の制限

事業主は、深夜(午後10時から午前5時まで)において労働させてはなりません。

 

○転勤に対する配慮

就業場所の変更によって介護が困難になる場合には、介護の状況に配慮しなければなりません。

 

○事業主は、介護休業などの申出や取得を理由に、解雇などの不当な取り扱いをしてはなりません。

 

いずれの場合も要介護状態にある対象家族の介護を行う労働者側の申請が必要となります。

日々雇用者や勤続1年未満の労働者等、一定の労働者については対象となりません。

詳細は厚生労働省や都道府県の労働局で確認してください。

 

このコラムの次の回を読む》

《このコラムの前の回を読む

 

佐久間 理央 さん 20141020_sakuma

POLE・STAR株式会社 ディレクター

 

大正大学大学院人間研究科修士課程修了(社会福祉学)。
私立国際武道大学、社会福祉法人武蔵野療園、社会福祉法人渋谷区社会福祉協議会等を経て現在POLE・STAR株式会社を設立。

主に福祉や生活に関する相談、コンサルティングを行っている。

 

株式会社 POLE・STAR ホームページ