介護をしている上で困ることは多々あるが、一つが、計画をどう立てたらよいかである。

日常の細々したことでさえ何かと変更が必要になるのに、長期的なこととなるとなおさら困る。

介護する側と介護される側の都合が合うことなど滅多にない。
目先の今できることから対応していくが、どうなっていくかなど判らないし、めども立たない。

長期的なことを考えたくても、日々のことで精いっぱいで、週・月単位での計画が立たないのだ。


我が家の場合は旅先で父親が倒れ、東京の自宅に何とか連れて帰ってきたのが11月の下旬だった。

誰もが、とりあえず新年を迎えられたら、と思っていた。

しかし、受け入れ先の確保から、介護保険の利用開始の手続き、在宅になった時の対応等々とにかく次から次へ出てくる。

そして、その時はまさか10年に及ぶ介護生活になるなどとは思ってもいなかった。


幸いなことに職場と自宅が同じ区だったので、昼休みを使いながら手続きなどを行うことはできたが、介護に関してはその場、その状況になってみないとわからない。

介護をする中で様々なことが出てくるため調整がつかなくなる。


仕事の繁忙期に父が体調を崩して入院となったこともあったし、温泉付きの療養施設を利用することになり送って行ったら、「こんなところにはいられない」等文句を言われ、あわてて迎えに行ったり、予定通りにはならない。

母が人工股関節を入れる手術をするのでショートステイを手配しても、数日間もいられず帰ってきてしまったり。

自分ではなんでもできると思い込み、気が向くと勝手に出かけてしまい、家への帰り方がわからなくなって仕事から帰宅して周辺を探し回ったこともある。


とにかく、その場その場でできることを対応するしかない。

日々こなすことが精いっぱいになるし、予定を入れてしまって直前でのキャンセルは避けたい。

仕事はいつも何時、何が起きるかわからないので、先へ先へとめどをつけて迷惑をかけないようにしておかなければならないし、キャンセルしたくないので予定は入れないよう心掛ける。

家族と協力し、使える制度を探し、時には自費でと調整するが、こちらの都合よくはいかないことも多い。
大事な仕事や早く起きなければならないときにも関係なく、夜中に起こされることもあるし、寝るのが遅くなることも、手続きのための書類の確認や作成を仕事から遅く帰った後にしたこともあった。

 

そうは言っても、基本は振り回されないように自分の人生も大事にしたい私と母。


介護をしている中で、父の病気のパターンや季節での体調の変化、リハビリやデイサービスを利用し始めるタイミング、地域資源等々、様々なことがわかってくる。

この状況になると在宅では無理なので、主治医と相談し入院が必要とか、今はどうしても出かけたい時期らしい、とか、ほしいというものでも、買ってくれば納得するものと、どうしても自分で行きたいものとか。

すべてが把握できたわけではないが、タイミングやサービスの活用の仕方がわかれば何とかペースもつかめる。


ペースをつかめば、コツもわかってくるし、しばらくすると様々な意味で割り切ることもできるようになってくる。

そうなってくると、時間の使い方も変わってくる。

幸い我が家では母と私が介護をしていたので、仕事の都合や自分の予定を入れやすい。

基本は自分達の生活プラス父の介護という様に捉えた。


変わったこともある。

留学を考えていたがタイミングを逸してしまった。

じゃあ、仕事で携わった福祉の研究をしてみようと大学院に行った。

もちろん友人と旅行に行ったり、食事に行ったりとそういう時間も、趣味等に使う時間も生活拠点の変更や転職、仕事と研究の両立、父の介護等々、その時々人の生活は変化する。

自分も変わるし、自分以外も変わる。何が原因かではなく、精一杯、自分らしく生きることが大切である。

介護だけではなく、その先にある自分の人生のためにも。

 

 

●親の介護とキャリア 気になる話題

「介護の年数」

 

「いったいいつまでこの介護が続くのか」

介護をする立場としてはいつも頭によぎります。

今回は厚生労働省のデータから、介護の年数について考察してみます。


●平均寿命と健康寿命(平成22年)から考える「介護年数」


○平均寿命
 男性  79.55歳
 女性  86.30歳


○健康寿命
 男性  70.42歳
 女性  73.62歳


○平均寿命・健康寿命の差
 男性  9.13年
 女性  12.68年


健康寿命とは、日常生活に制限のない期間を示すものなので、その差は「不健康な期間」を意味します。

必ずしも、この期間すべてにおいて介護が必要になるとは限りませんが、健康ではない状態となります。

高齢の方はちょっとした病気や怪我から、要介護状態になってしまうことが多々あります。

そう考えると長い場合は、この「不健康な期間」がほぼそのまま介護期間になることも考えられます。

 

 

●特別養護老人ホームの利用状況(平成23年)から考える「介護年数」


○要介護度別の入居者の割合
 要介護1 3.1%
 要介護2 8.7%
 要介護3 20.3%
 要介護4 32.0%
 要介護5 35.8%


○特別養護老人ホームの平均在所日数
 1,475日 (4.41年)


○平成22年特別養護老人ホームにおける退所者の状況
 家庭 2.9%
 介護老人福祉施設 1.1%
 その他の社会福祉施設 0.3%
 介護老人保健施設 0.4%
 医療機関 28.9%
 死亡 63.7%
 その他 2.6%

 

特別養護老人ホームに入所されている方の多くの退所理由が、医療機関への入院もしくは死亡となりますので、多くの方が余命に近い状況までそこで過ごされると考えられます。

施設を利用するのは介護度4・5度の方が多数。

つまりそのような状態となって入所してからは4年数か月、と推測できます。

 

ただしこれらはあくまで平均値。実際にいつ終わりになるのかは予測がつきません。
長期間の介護になることを想定しておいた方がいいと思います。

自分自身を大切にしながら、どのように介護をするのか、介護をする場所・人・状況・金銭的なこと等を考えておくことも大切だと思います。


【参考】
厚生労働省「健康寿命と平均余命を見る」「施設サービス等について」
内閣府「平成24年度版高齢者白書」

 

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佐久間 理央 さん 20141020_sakuma

POLE・STAR株式会社 ディレクター

 

大正大学大学院人間研究科修士課程修了(社会福祉学)。
私立国際武道大学、社会福祉法人武蔵野療園、社会福祉法人渋谷区社会福祉協議会等を経て現在POLE・STAR株式会社を設立。

主に福祉や生活に関する相談、コンサルティングを行っている。

 

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