‘介護’がはじまって、妙に納得したことがある。
主役は介護が必要な人である、ということ。我が家の場合、それは父であった。
ドラマに例えれば主役が父で、私たちはその家族、脇役なのだと。

 

 

自分の人生の主役は自分だったはず・・・が、気が付くと主役交代!主役の座に座っていたはずが、違っていたのだ。いつの間にか。あれ?

 

要介護者がいる生活は、常にその人の世話や配慮が中心に考えられて、介護する側は脇役に押しやられてしまうのだ。

 

自分の都合は二の次で、常に要介護者のことが優先して考えられてしまう。

 

それは当然のことなのだが、やはりこちらにもこちらの人生があり、刻んでいる時間は一緒なのに・・・

 


ふと気が付けばセリフもない通行人になっているような気になることがある。

 

画面にちょっとしか映らない、話の筋に何の影響もない小さな・小さな存在に思えてしまうことがある。


そうなると、仕方がないとわかっていても、むなしいような、さみしいような、どうしていいのか途方に暮れるような、憤っていいのか、泣いていいのか、感嘆すればいいのか・・・何処にも当てようのない暗澹たる思いが、心にあることを自覚させられる。

 

 

介護が必要となると、どうしたって介護を受ける人が中心となる。

介護保険をはじめ、地域にもたくさんの資源(介護を支えるための制度・人材・グループ等)がある。

 

うまく組み合わせて利用することは大事。

 

でも、制度や資源を利用すれば、その分どうしたって多くの人が関わってくる。

 

時には処理できないほどのことがのしかかってきて、身動きも、息もできないような感覚に襲われる気がするときもあった。

 

 

いつの間にか自分の人生の主役ではなくなり、日々に流され自分の人生なのかさえ分からない。

 

社会からも他のことからも切り離され途方に暮れるような・・・。

 

置いていかれてどこかに取り残され、どこにどう行くのか、すべてを放り出して忘れてしまいたくなるような、どうしていいのかわからない気持ちになる。

 

 

自分が追い込まれてしまうことを防ぐには、

自分の人生と介護を必要とする人の人生、そしてほかの家族等とも適度な距離と関係を上手く保つことが大切になってくる。

 

 

私の場合は、父の介護のためにできる限り、多くを犠牲にすることも、我慢することも【しない】と決めていた。そしてそれを貫いた。

 

それでも失ったこと・もの・時もあったであろうし、我慢や変化したことも多かったと思う。

 

それでもできるだけ、状況をポジティブにとらえるようにしていた。

 

介護を必要としている父を特別とは捉えないし、父との関係を変えることもしなかった。

 

目の前にある状況を見つめて、自分のできること、できないことをできるだけ客観視することが大切だと思ったからだ。
あくまで対等な家族としての関係を続けていくだけである。
(父も父で迷惑をかけているとか、介護してもらっているという考えさえなかったのだと思うが)

 

 

家族という一つのグループの中で、メンバーがそれぞれ、様々な時間を過ごすのが当たり前。

そして家族だからできれば少しでも、必要なら協力をしていきたい。でも、自分の人生のすべてを捧げることはできない。
自分の人生の主役、それはずっと自分だからである。

 

人生に、脇役などいないのだから。

 

 

●親の介護とキャリア 気になる話題

「介護保険とは?」

 

(1) 介護保険制度とは?
社会全体で「介護」を支えていくために、平成12年4月に「介護保険制度」としてスタートした制度です。
現在は40歳から被保険者として介護保険に加入し、保険料を納め、介護が必要になったときにサービスを利用開始できる社会保険方式のサービスです。


(2)サービスを利用できる人
基本的には、65歳以上の方(第1号被保険者)は誰でも利用できます。
ただし、利用を開始するには市区町村への要介護認定の申請が必要で、介護認定が出た方のみ利用可能です。
※第2号被保険者 (40歳以上65歳未満の方)で、介護保険の対象となる特定疾病が原因の方で、市区町村から介護認定が出た方は利用可能です。


《要介護認定と限度額限》
介護保険によるサービスの利用は、要介護の区分に応じて保険給付額の上限が決まっています。
サービスが上限額を超える場合にはその分のすべてが全額自己負担となります。

要介護認定はその状態によって、以下のように区分されています。


○要支援1

障害のために生活機能の一部に若干の低下が認められ、介護予防サービスを提供すれば改善が見込まれる。


要支援2

障害のために生活機能の一部に低下が認められ、介護予防サービスを提供すれば改善が見込まれる。


要介護1

身の回りの世話に見守りや手助けが必要。立ち上がり・歩行等で支えが必要。


要介護2

身の回りの世話全般に見守りや手助けが必要。立ち上がり・歩行等で支えが必要。排泄や食事で見守りや手助けが必要。


要介護3

身の回りの世話や立ち上がりが一人ではできない。排泄等で全般的な介助が必要。


要介護4

日常生活を営む機能がかなり低下しており、全面的な介助が必要な場合が多い。問題行動や理解低下も。


要介護5

日常生活を営む機能が著しく低下しており、全面的な介助が必要。多くの問題行動や全般的な理解低下も。

 

《介護予防サービスと介護サービス》
要介護状態区分により利用できる介護保険サービスが決まります。


○要支援1・2の方が利用できる『予防給付』
自立して生活できるよう、要介護状態になるのを防ぐことが目的です。


○要介護1~5までの方が利用できる『介護給付』
常時介護を必要とする状態の軽減もしくは悪化の防止を目的としています。

 

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佐久間 理央 さん 20141020_sakuma

POLE・STAR株式会社 ディレクター

 

大正大学大学院人間研究科修士課程修了(社会福祉学)。
私立国際武道大学、社会福祉法人武蔵野療園、社会福祉法人渋谷区社会福祉協議会等を経て現在POLE・STAR株式会社を設立。

主に福祉や生活に関する相談、コンサルティングを行っている。

 

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