「お父様はいかがですか?」
父が倒れてから、よくお声掛けいただいた言葉である。


最初の頃は父の状況がはっきりしていたので
「おかげさまで、大分よくなりました。」
「退院しまして、家で療養しています。」
など返答にも困らなかったのだが、しばらくして介護量が増えてくると、なんと言っていいのか困ってしまうことが多々あった。


病気という観点で考えると深刻ではあるが、とりあえず在宅で過ごしている。

病気はいろいろあるけれど、手術や入院での対応ではなくなった。とはいえ完治とはいかない。
いうなれば経過観察?温存?というところ。


そして…、
とりあえず寝たきりとか、ではない。

じゃあとても元気、というわけでもない。

健康寿命という点で考えると、とっくに健康な人ではなくなっている。

家にこもりきりというのも辛いため、趣味である陶芸ができるリハビリに通っているという感じである。


ただし自分ではそう認識していなかったので、家族の心配をよそに、欲しいものがあると出かけて行って、数時間帰ってこないこともしばしば。

検査で撮ったMRIの画像を見ると脳梗塞の後があり、脳に何らかのダメージがあるようだが、父の場合、言語や運動機能に障害が残るものではなかった。

その代り、他の機能にダメージがあったのだろうが、よくは判らない。

感情や物忘れなど、認知症の兆しのようなものは見られた。

 

なんだか父の場合、どう説明をしていいのかわからない症状なので、

「それなりにダメージはあるみたい。」とか、

「病気をした割には元気だけど…。」と、

お茶を濁すような説明になってしまう。

 

高齢になってくると、病気とは縁が切れなくなってくる。

病名が付くもの、高齢による機能の低下や機能不全によっておこるもの等様々である。
病名が付かないと何とも説明しにくかったり、病気ととらえていいものかどうか困ってしまうこともあった。


また、介護というと寝たきりの状態や認知症の症状等、要介護度の高い状態をつい想像しがちであるが、日常生活を送る上でできなくなった部分をフォローしていくことでもある。

 

つまり、病気と要介護というのは境目がはっきりしなくなってくる。

ケガや病気がきっかけとなり、そのまま一気に要介護状態になってしまうことも決して珍しくない。

病気と要介護というのは境目がはっきりしなくなるということは、例えばある症状が表れたとき、誰に相談すればいいのか迷うことにもなり、なかなかに厄介である。

 

老いるということは、何とも説明しにくいことと向き合うことなのかもしれないと改めて考える。
医療的治療と介護、生活していく中のこととなり、説明が付けにくい場合も多い。

でもそれもまた介護なのである。


境目があいまいな医療と介護。

両方を理解している人を見つけることは介護者にとって、情報整理にも、メンタル面にもメリットがあると思う。

 

●親の介護とキャリア 気になる話題

「介護保険とは? ~その使い方」

 

《介護保険を利用する時の手順》


1)住んでいる市区町村の担当窓口で介護保険利用開始の手続きを行います。
〈申請の時の注意〉

事前に連絡をしてから行きましょう。市区町村によって担当窓口が異なります。

居住地の地域包括支援ンセンター等の場合もあります。
〈申請の時の持ち物〉

介護保険者被保健者証、健康保険者証(第2号被保険者の場合)、主治医について(名前・住所・連絡先)、印鑑、申請者の身分証明書
本人や家族が申請に行けないときは、近所の民生委員や知人、地域包括支援センターやケアマネージャーでも代行してくれます。


2)訪問調査と主治医意見書
市区町村等の調査員が自宅や施設等を訪問して認定調査を行います。

利用者の心身の状態や生活状況を確認するためです。
また、認定調査とは別に主治医に意見書の提出が依頼されます。

利用者の持病や身心の状態を主治医から確認するためです。(主治医がいない場合は、市区町村の指定医の診察が必要となります。)


《訪問調査のポイント》


利用者の状態を確認するための、市区町村から委託を受けたケアマネージャーが訪問調査員として自宅にやってきます。

事前に日程調整の連絡がきます。

主には以下のようなことを確認されます。
〈日常生活に関する項目〉
食事・移動・入浴等の生活に関する動作、徘徊や問題行動、聴力や視力などの身体機能について
〈医療的介護の必要項目〉
点滴の管理や床ずれ等、医療的なことについて


《訪問調査の心得》


面接調査は要介護認定に直接つながります。困っていることなど状況をきちんと伝えることが大切です。

 

◎主治医に受診をしておく
認定調査と共に必要なのが、主治医の意見書です。

認定調査と最後の受診の日数が空いていると、正確な判定の妨げになるとともに、意見書を書いてもらえないこともあります。

利用者の状況を把握してもらうためにも定期的な受信をお勧めいたします。

 

◎普段の介護状況等を記録しておく
状況を正確に伝えるために「何が」「何時間」とか「数日に1回」とか具体的に伝えましょう。

例えばヘルパーやデイサービス等の利用状況、通院の回数、食事の状況等の要介護者に関すること等、介護者が気になることはきちんと伝えた方がいいと思います。

特に認知症があり、問題行動を起こすことがある場合はメモにして渡すと、当日の様子だけではわからないことを伝えられます。


◎質問には詳細に答える
認定調査は利用者の心身の状態を総合的に表すものです。

普段の状況を知るために「身体・動作」「日常生活」「社会生活」「精神・行動・認知機能」等について聞かれます。

重要なことは項目になくてもできるだけ伝えましょう。


◎事前に項目をチェックする
質問項目が多いので、その場でこたえようとすると、答えられないこともあります。

どんな質問があるのか、事前に知っておくと当日あわてなくて済みます。


◎正しく伝える
初見の人から質問されたり、高齢者の場合だと我慢することが当たり前になってしまっている場合や、今の状況では症状が出てなくて、「いいえ」と答えてしまう場合も多くあります。

シチュエーションによる状況を補足する等、きちんと状況を伝えましょう。


◎試験ではありません
合否を決める試験ではなく、日常生活や介護の状況を知ることが目的です。初見の人は見栄を張ってしまったり、普段できていることができなくなってしまったり、質問の意味を理解できず答えてしまったりすることも多々ある様です。普段の様子や、できないことはできない等、きちんと伝えましょう。


・家族や本人の状態をよく知っている人が立ち会う
本人に認知症があったり、よく答えられない場合は、立ち立った人が状況を伝えましょう。


・これまでした病気やケガについて記録しておく
主治医の意見書にすべてが記入されるわけではありません。

介護を行うことで気になる病気やケガの既往歴がある場合は、なるべく詳しくメモにして、調査委に渡しましょう。


・今、困っていることについて
困っていることについてできる限り具体的に、メモにしてまとめておくと、伝え忘れがなくなります。

まとめるときには【要介護者本人が困っていること・不便に感じていること】と【介護する側が困っていること・不便を感じていること】に分けておくとわかりやすいです。


・本人の前で言いにくいこと
これもメモにしておくと便利です。

要介護者本人が気にしていることを、調査員とはいえ、他人に話されるのに抵抗を感じる人もいます。


◎審査・判定
認定調査と主治医意見書をもとに「介護認定審査会」で介護度が判定されます。


◎認定結果の通知
原則として申請から30日以内に、認定審査会の判定結果に基づいた申請結果が届きます。

申請結果は「非該当」「要支援1・2」「要介護1~5」です。

 
○認定の有効期間
・新規、変更申請:原則6か月(状態に応じ3~12ヶ月までの場合もあります)
・更新申請:原則12ヶ月(状態に応じ3~12ヶ月までの場合もあります)
※有効期間を過ぎると介護サービスの利用ができなくなります。有効期間満了までに認定の更新申請を行ってください。
※身体の状況に変化が生じたときは、有効期間の途中でも、変更申請を行うことで、介護度の見直しが受けられます。変更申請手続きを行ってください。

 

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佐久間 理央 さん 20141020_sakuma

POLE・STAR株式会社 ディレクター

 

大正大学大学院人間研究科修士課程修了(社会福祉学)。
私立国際武道大学、社会福祉法人武蔵野療園、社会福祉法人渋谷区社会福祉協議会等を経て現在POLE・STAR株式会社を設立。

主に福祉や生活に関する相談、コンサルティングを行っている。

 

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