30歳で始まった父の介護。
私も母も福祉の専門家。介護に関する知識や情報であれば、ほとんど困らない。
そして周りも介護や福祉の専門家。困ってもすぐに聞ける。十分すぎるくらいにありがたい。情報も知識もそして状況さえもわかってくれる。
父の介護に関するケアマネージャーや訪問看護師等ももちろんとてもありがたい存在であった。
でも違うのだ。
本当にありがたいと思っている。
でも時々、どうしても猛烈に愚痴りたいというか、怒りを吐き出したい、むなしいような出口の見えない恐怖にとらわれることがあった。
共感してほしくなるのだ。
できれば似たような年代で、【親の介護】をしていて(「親が祖父(母)の介護をしていて大変そう」ではなく)、仕事もしていて、将来のことをきちんと考えていているような共感を得られる相手に。
愚痴ったところでどうしようもないことぐらい重々承知している。
そして私のまわりの専門家の方々が本当に気を使って、的確にアドバイスをくれている、話もできている。
それでも何か大事なものを失っているような焦燥感や将来についての見通し等、失うものが違う種類なのだ。
人生の中で迷ったり、焦ったりすることは年代や環境によって起こってくる当然のことなのだが、介護が必要な要介護者を抱えると、その人の人生までが圧し掛かってくるような、逃げ出せない、いたたたまれない思いにさいなまれることがある。
頭では分かっているが、どうにも心がついていかないときもある。
そうなると占いでも何でもいいから将来の見通しを教えてほしい!誰なら教えてくれるのか?と本気で考えていた。
感情は知識や情報だけではどうにもならないこともある。
介護される側のサポートはケアマネージャーを中心として様々ある。
そして介護は要介護者が中心である。
一方で、介護する側のサポートはあまりない。
それでも介護者としてそのことを踏まえながら、きちんと自分の人生を送れるように、介護で疲れすぎないように、できることできないこと、することしないことを決めておくことが大切である。
しないことも大切な選択肢の一つとなる。
介護は長期戦になることが予想される。
時には本当に苦しくなることもある。
そしてそれが要介護者に向かうこともあれば、自分の責任の重圧等で悲しいニュースとなることもある。
様々な思いやしがらみから、自分の親に介護が必要だとはなかなか言えないことがある。
外に向けて声を上げにくいのが実情である。
それでもやはり無理せず、自分も大事にしながら、適度に適当に距離を保ちながら介護に携わってほしい。
そして愚痴をこぼせたり本音を言える、誰かと時間を持つことも大切である。
もちろんケアマネージャーをはじめとする専門職に話すのも、聞いてくれる友人でも、当事者同士の会でもいい。
自分が気の置けない、評価でも判断でもなく共感してくれる相談相手を持っておくことも介護と仕事を続けるコツの一つになると思う。
●親の介護とキャリア 気になる話題
「介護保険のサービスを利用するには」
○介護サービス計画作成
介護支援専門員(ケアマネージャー)が中心となり、本人や家族に希望、心身の状態を考慮して介護サービス計画を作成します。
認定区分によって介護サービス計画(ケアプラン)の作成の依頼先が異なります。
【要介護1・2・3・4・5】と認定された方
居宅介護支援事業者(介護支援専門員)に介護サービス計画(ケアプラン)を作成します。
【要支援1・2】と認定された方
地域包括支援センターが(介護予防)サービスを利用する場合は介護サービス計画(ケアプラン)を作成します。
【非該当】と認定された方
介護保険を使ってのサービスを受けることができません。
ただし、地域支援事業における『一次予防事業・二次予防事業』等が利用できることもあるので、地域包括支援センターに相談してください。
○介護支援計画(ケアプラン)を立てる
介護支援計画(ケアプラン)とは、どのようなサービスをいつ、どれだけ利用するのか、サービス内容やサービス料を加味しながら、計画を立てることです。
<ポイント>
①介護される人の状態を見極める
介護される人ができることをすることによって少しでもよく暮らし続けられるようにするためにも、心身の状況や日常生活を把握しましょう。
家族として何を援助すれば場いいのかも大切なことです。
②家族はどこまで介護するのか
家族の状況を見極め。家族がどの程度協力するのかはとても重要なことです。
1人に介護が集中して負担になることはできるだけ避けた方がいいでしょう。
また、仕事や子育て等の状況も考えておいた方がいいでしょう。
家族ができることを正しく判断し、家族以外の協力者や介護保険、福祉サービスを取り入れながら、介護を続ける状況をつくります。
③家庭の経済力を見極める
介護保険の負担の上限は1割ですが、介護保険以外に様々なものが必要になります。
それによって経済的な負担が増えます。
何をどこまでできるのか、お金をかけられるのか、見当をつけておいた方がいいでしょう。
介護は長期化する傾向があります。そのことも踏まえ、計画を立てましょう。
④住む環境を整備する
家庭環境は個人によって様々です。
自宅での生活はどうしても最低限の場所の行き来に限られてきてしまったり、段差等の障害によりけがの原因になったりします。
少しでも自宅での生活を充実させるために、福祉用具の利用や住宅改修の活用を考えましょう。
⑤介護保険や地域の福祉サービスを利用する
在宅で利用するものと、施設等で利用するものがあります。
家庭外での活動は引きこもりを防止するとともに、家族以外の人と接することで交流や社会の一員であるとの自覚、やりがい等を得られ、少しでも介護状態をよくすることも考えられます。
また利用者が外出することで、介護する側の負担軽減等にもつながります。
⑥ケアプランができてきたら
総合的に介護を考えて作成したもらったプランを、もう一度チェックしましょう。
■週・月に何回どのようなサービスを利用するのか
■各サービスの料金と支払い方法
■介護保険外の費用
■キャンセル料の有無
■契約について(期間や方法)
■更新手続き
■サービスを辞めるときや、長期お休みの時の対応
■インフォーマルサービス(*1)活用の可能性
(*1)インフォーマルサービス
公的機関や専門職による制度に基づくサービスや支援(フォーマルサービス)以外の支援のこと。
具体的には、家族、近隣、友人、民生委員、ボランティア、非営利団体(NPO)などの制度に基づかない援助など。
佐久間 理央 さん | ![]() |
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POLE・STAR株式会社 ディレクター
大正大学大学院人間研究科修士課程修了(社会福祉学)。 主に福祉や生活に関する相談、コンサルティングを行っている。
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