核家族世帯が多い時代である。

祖父母と生活をすることが少なくなった分、老いや死といったことが身近な出来事ではなくなってきている。
老いていくことが想像しにくくなり、考え方や受け取り方も変わってきているのかもしれない。

私たちは、老いや死をどう受け入れるべきなのだろうか。
 
今から考えると、祖父母はそんなに年を取っていたわけではないのに、自分が生まれた時から祖父母であり、しっかりおじいさん・おばあさんだった。
それぞれに病気をし、体が弱り、そして天寿を全うしていった。

生まれた時から二人は、私にとって最高齢の家族のイメージであったので、老いも、病気も、天寿もそれほどに違和感なく自然な形で受け入れていた。
 
しかしこれが、自分の親や今の高齢者に対してはどうだろうか。

親や、お世話になった先生・先輩諸氏に関しては、若い時・元気に活躍していた時のイメージがそのまま記憶に残っていることも多く、しばらく会わずにいてある時、突然の再会でその変化に戸惑い、どうしていいのかわからなくなることもある。

koro_sakuma_20150710_1自分の親であれば、同じ話を何度もしたり、家の中でつまづく等の変化に気づく瞬間があるかもしれない。

でもそんな些細な変化を目にしたとき、戸惑いの末に見なかったこと・なかったことにしてしまうかもしれない。

親や尊敬する方が、【老いていく】という現実を受け入れられず、「気のせい」にしてしまうかもしれない。

 

人間には感情があり、見たくないものや心が否定したことは、無意識に感情に沿うように解釈をして心の整理をしていると言う。

 

それは毎日を快適に暮らすための防衛反応ではあるが、いざという時の対処が遅れることにもつながりかねない。

 

人間の感情や思考はコンピューターの様に、その人に起こる様々な変化を淡々と刻むようにはできておらず、自分にとって都合のいいように忘れ、解釈を変えていってしまう。

だからこそ、顔に刻まれたしわの深さ、風貌、行動の変化、会わずにいた年月を想像し、「人は確実に心身ともに年を取っていく」ということを受け入れる必要がある。

 

年齢の割に元気なのはいいことである。

しかし、見た目や普段の生活からはわからない老いや、本人が気力を失っていることもある。

 

「うちの親はまだ大丈夫」

「もう少し本人の好きにさせてあげたい」

という思いや、

「まだもう少し先であってほしい」

という願望から、都合のいいことだけを見て済ましていないだろうか。

 

親の老いは働き盛りの世代にとって深刻な問題であり、不都合な真実なのかもしれない。

でも、人は確実に歳をとる。

時には客観的に、親の年齢や状況などを見つめることも大切である。

家族それぞれの考え方に柔軟性があり、体も動くうちに、介護に必要なことを共に考えておくことはお互いにとっても悪いことではない。

 

老いを客観的に受け入れることは誰にとっても難しいこともあると思う。

でもきちんと‘今’の状況を受け入れることは、これからの生活を心豊かに過ごすために、とても重要なことと考える。

 

●親の介護とキャリア 気になる話題

「介護予防、という考え方」

 

世界の中でも例を見ないスピードで高齢化が進んでいる日本。
2025年には、75歳以上の人口が、人口比の約30%、3,500万人に達すると言われています。
今後、寝たきりや介護が必要な高齢者も、急速に増えることが予測されます。

家族にとっての高齢者介護も、社会保障費の増額も大変な問題となっています。

2006年4月に介護保険制度の全般的な見直しが行われ、高齢者の「自立支援」や「尊厳保持」の観点からも、住み慣れた地域での安心した生活を維持していけるように介護予防サービスが提供されることになりました。

 

できるだけ住み慣れた地域で暮らすため、老後を健康に過ごし、長い人生を自ら楽しむために、元気なうちから少しでも健康に長く暮らせることを目的としています。

 

健康寿命を延ばし生活の質を高めていくためには、生活習慣病予防と介護予防を地域で総合的に展開することが大切。

そのために予防の概念は、一次予防、二次予防、三次予防の三段階に分けて考えられています。

○一次予防
健康な人が対象。発病そのものを予防するための健康づくり、疾病予防への取り組み。

 

○二時予防
すでに疾病を保有する人が対象。症状が出現する前の時点での早期発見・治療するための取り組み。

 

○三次予防
症状が出現している人が対象。重度化の防止、合併症の発症や後遺症を予防する取り組み。

高齢者向けのサービスなんて自分にはまだ早い、受けたくないと思う方も多くいると思いますが、介護予防はそうならないためのサービスです。
生活習慣病だけではなく、高齢による衰弱・転倒・骨折・認知症・尿失禁等高齢者によく見られる症状や状況にならないよう予防するためのプログラムです。
 
各自治体が介護予防の観点から様々なプログラムに取り組んでいます。

いざというときのための情報収集や地域参加の一環として、また介護状態になることを少しでも遅らせるよう介護予防を活用してみてはいかがでしょうか。

 

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佐久間 理央 さん 20141020_sakuma
POLE・STAR株式会社 ディレクター
大正大学大学院人間研究科修士課程修了(社会福祉学)。
私立国際武道大学、社会福祉法人武蔵野療園、社会福祉法人渋谷区社会福祉協議会等を経て現在POLE・STAR株式会社を設立。
主に福祉や生活に関する相談、コンサルティングを行っている。

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