こんにちは、司法書士の鶴見です。

前回前々回と法定相続分と遺産分割協議についてお話をしましたが、

今回のテーマは「遺言書」です。

私たち司法書士が相続のご相談をいただいたときには、まず初めに遺言書の有無を確認します。

遺言書がある場合には、遺言書の内容にしたがって相続の手続きを進めることになります。

法定相続分よりも遺産分割協議よりも遺言書が優先されるのです。

遺言書とは、遺言者が死亡した時に効力が発生する最終の意思表示です。

効力が発生したときには、遺言書を書いた本人は既におりません。そのため遺言書でしっかりと意思を伝える必要があるのです。
そこで今回は、遺言書のルールについてお話させていただきます。

 

●遺言書の種類とルール


遺言書を書く際には、何種類か方法があります。
今回は、一般的な自筆証書遺言と公正証書遺言について話をしたいと思います。

 

1.自筆証書遺言
全文、日付、氏名を自分で書き、印を押した遺言書です。
自分で書くことにより作成できるため、自分の想いを相続人に伝えやすいという利点もある遺言書です。

費用もかかりません。
ただし遺言書の正しい知識がないと、要件不備で無効となってしまうこともあります。偽造・変造される可能性もあります。

また、遺言書の有効無効で争いになることもあります。
例えば、自筆証書遺言があるが本人の字ではない、として遺言の無効を主張されることもあります。

その他、遺言書を書いたときには既に認知症になっており遺言書を書く能力が無かったとして争いとなることもあります。
そういったリスクを補う遺言書が、公正証書遺言です。


2.公正証書遺言
証人2人の立会いのもと、公証人に作成してもらう遺言書です。
公証人が作成するので、要件不備によって無効となるといったことがありません。

また遺言書の原本を公証役場にて保管するため、偽造・変造される心配もありません。
そのかわり自分一人で作成するものではないため、費用と時間がかかります。

また、証人2人が立会うため遺言書の内容を知られてしまい、完全に秘密にしておくということができません。


せっかく作った遺言書によって揉め事が起こるのでは、遺言書を作成した意味がありません。

費用など気になる点はありますが、もし遺言書を作られるのであれば、公正証書遺言の作成をおすすめします。


次は、遺言書のルールをお伝えいたします。
遺言書の方式は厳格に決められているため、要件の不備があると有効な遺言書とはなりませんので、注意が必要です。

 

1.自筆証書遺言のルール
・自筆でないとダメ!!・・・パソコン等で作成することはできません。また、録音や動画では有効な遺言書となりません。
・日付の特定・・・「平成26年7月30日」など、遺言書を作成した日付をしっかりと特定する必要があります。「平成26年7月吉日」などでは日付の特定ができないため無効となってしまいます。

 

2.公正証書遺言のルール
・証人2人の立会いが必要・・・立会える者にも制限があり、未成年者や相続人となる予定の者等、一定の範囲の方は証人とはなれません。

その他、一枚の遺言書で2人連名とする遺言書や、遺言能力のない者による遺言書は無効となります。


作成した遺言書は誰かに保管してもらうか、大切にしまっておくことになります。

遺言者の死亡後、遺言書の保管者または遺言書を発見した方は、遺言書を家庭裁判所に提出して検認手続きをしなければなりません。

封印してある遺言書を検認せずに開けてしまうと過料に処せられることがありますので、勝手に開けないようにしましょう。

さらに、遺言書を自分に有利なように偽造・変造したり、破棄してしまったりすると相続欠格事由に該当し、相続人としての財産を承継する地位を失ってしまいます。

遺言書を発見した場合には、検認までの間、金庫等で大切に保管しておくのがいいでしょう。

 

【ご相談者からよくいただくご質問】
Q.検認手続きとはなんですか?
A.家庭裁判所が遺言書の形状、状態などを確認し、偽造・変造を防止するための手続です。

遺言書の有効無効を判断する手続きではありませんので、検認手続きを行なったとしても、後日、遺言書が無効として争いが起こることもあります。

 

Q.遺産分割協議後に遺言書が見つかったらどうするの?
A.基本的には、遺言書が優先され遺言書に記載されている内容で相続することになります。

ただし、相続人や遺言により財産をもらう者の全員の同意が得られた場合、先にした遺産分割協議を有効とすることも可能です。

 

鶴見 英司 さん yuigon_tsurumi

鶴見司法書士事務所 代表

内装職人を経て、27歳から司法書士を目指し勉強を始める。平成22年度司法書士試験合格後、都内の司法書士事務所に勤務。不動産登記業務を中心に、商業登記、相続登記等の登記業務を数多く担当する。 平成25年6月、鶴見司法書士事務所を開業。

 

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