こんにちは、井上 麻佐子です。

日本でも昨年から放送されている「ダウントンアビー」は、イギリスが華やかなヴィクトリア朝時代の習慣を色濃く残す1912年、タイタニック号沈没のニュースに驚く貴族のカントリーハウスでの暮らしぶりからスタートします。

 

このドラマの舞台ともなった「カントリーハウス」とは、いくつもの部屋を有するお城のような貴族の館であり、素晴らしい庭園(garden)、そして、見渡す限りの整備された領地(park)の中に、ゆったりと建っています。

 

中世の荘園館であったマナーハウスがカントリーハウスになっていったものもありますが、多くのカントリーハウスが建てられ始めたのは16世紀頃のことです。

かの有名なチューダー朝ヘンリー8世は、カトリック教会と袂を分かち、英国国教会を樹立。

その時没収した、修道院の財産と土地を家臣に分け与えたのがきっかけだと言われています。

 

ヘンリ−8世の娘 エリザベス1世の時代、イングランドは繁栄し平和な世の中となっていきます。

こうなると、外敵から身を守る砦のような館から、窓や開口部が大きく住み心地の良いスペースや眺めのよい庭が求められていくのも当然です。

また、女王様のお楽しみは地方の家臣の邸宅巡り。

恐れ多くも、女王様がいらっしゃるとなれば、見栄もなりたくなるものです。

このようないろいろな要因が相まって、カントリーハウスは貴族たちがこぞって贅を尽くし、素晴らしい景観を持った豪華な大邸宅となっていったのです。


現存するカントリーハウスは、チューダー朝の部分は残しつつも、17世紀以降、イタリアの建築をお手本として建て替えれたものがほとんどですが、貴族の財政事情が厳しいこともあり、たくさんのカントリーハウスが一般公開されています。

 

イギリス旅行に行くなら、ロンドンだけではなく、ぜひ、郊外にも足を伸ばして欲しいのですが、特にお勧めしたいのが、ピークディストリクトと言われる地方です。

ここは、イギリス人が大好きな場所。

イギリス人にとっては、海外からの観光客にはあまり教えたくない場所だと言われており、日本ではあまり知られていませんが、ここには、イギリスらしい素晴らしい景色と素敵な映画のロケ地にもなったカントリーハウスが点在しています。

昨年、訪れたハドンホール。

中世にタイムスリップしそうな厳かな趣きのある館は、英国でも最も価値のある現存する建物の一つとされており(1000 Best Houses)、館のお嬢様の「ロミオとジュリエット」のようなラブロマンスも語り継がれています。

 

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そして、英国陶磁器ミントン社のハドンホールシリーズの名前の由来はこのカントリーハウスから。

こちらの館の装飾からインスピレーションを得たものだそうです。

 

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ちなみに、「ジェーンエア」「エリザベス1世」「ブーリン姉妹」や「プライドと偏見」など数多く映画のロケ地となったこの館には、一昨年、11代ラットランド公爵の弟ご夫婦が双子の赤ちゃんと共に、700年ぶり!にこちらのお屋敷の住人となられたとか。

夜になったら、ちょっと怖そうではありますが。。。

 

そして、もう一つ、ご紹介したい館がチャッツワースです。
ゲートを入ってからも、しばらくは羊のいる緑の草原が続き(東京ドーム9個分らしい)、遠くにやっとそのお屋敷の姿を見たときは感動!

アートに造詣の深い歴代の当主により集められた絵画や美術品はヨーロッパ最大級と言われ、楽しいコンテンポラリー作品まであります。

 

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さらに、映画「ある公爵夫人の生涯」は、こちらのカントリーハウスの持ち主第5代デヴォンシャー公爵夫人の実話に基づいた物語です。(こちらでもロケが行われました)

ジョージアナは、スペンサー家出身。。そう、故ダイアナ元王妃の先祖に当たる人であり、映画の中にも登場する恋人のチャールズ・グレイは、ご存知、紅茶の「アールグレイ」のグレイ伯爵、のちにイギリス首相になられた方です。

 (だんだん、こんがらがってきますが、さらに、アンドリュー王子の元妻セーラ ファーガソンは、この二人の間に生まれた女の子の子孫だそうです。)
優雅でスキャンダラスで、「映画のような本当のお話」が映画化されているのですね。

 

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ダウントンアピーの放送で、私たちにも少し馴染みのできたカントリーハウス。
他には、全くこわくないサスペンス映画「ゴスフォートパーク」(ダウントンアビーが好きならオススメ)や日系英国人カズオ イシグロが描きブッカー賞を受賞した「日の名残り」などで、カントリーハウスを舞台とした豪華でちょっと窮屈な貴族の生活や、たくましく生きる使用人の暮らしぶりを観ることができます。
少しの予備知識で、ドラマや映画も、より深く楽しめると、なんだか得した気分になりますね。

 

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アナタの毎日に「アート オブ リビング」を(4)

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井上 麻佐子 さん ls_inoue

慶應義塾大学 経済学部卒業後、外資系金融業界を経て、イギリス在住時、装飾と生活芸術の世界と出会う。
1998年より、ヨーロッパ上流社会の生活の中での芸術、文化、習慣を学ぶ。
帰国後、花装飾の仕事に携わるとともに、2009年より、The Art of Livingの講座、講演、メディア出演 および、執筆活動を行う。
旅行に行ったり、映画を見たり、絵画を鑑賞したりする、現在に生きる私たちの楽しみが、より深くなる、楽しいヨーロッパの歴史、習慣をわかりやすく紹介。
2014年、2015年と、講座受講者とともに行く、「イングランド、スコットランドのツアー」を開催している。
2008年12月より 株式会社ザ・ブーケ 代表取締役 
現在、白金台にて講座開催。


これまでの講座、講演:
出演 
・ NHKラジオ第1  2013年〜2015年 「ごごまり」レギュラー出演 
〜暮らしに華を〜担当:毎回、ヨーロッパの伝統文化、習慣などを生放送で解説。
・スカイパーフェクトチャンネル シアターTV

 

連載 
・プリティープリザーブド(草土出版) The Art of Living ~ヨーロッパの貴婦人たち〜 
・MY GENERATION アーティストの花

 

講演活動 
三菱地所レジデンスイベント、大丸エリアマネジメントイベント、ロータリークラブ、ゴトウ花店イベント、サンタマリア ノッヴェーラ 他多数

 

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