●おひとりさま向上委員会
葉石かおりさんは、「おひとりさま」というキーワードと一緒に語られることの多いエッセイストです。
それは今から10年ほど前、葉石さんが「おひとりさま向上委員会」という団体の代表を務めていた頃、「おひとりさま」という言葉が流行語大賞候補としてノミネートされて、一躍時の人になったことからきています。
この「おひとりさま」という言葉、すっかり定着した感じではありますが、一般的には“一人ぼっちの寂しい女”の形容詞のようにネガティブに使われることが多いと思います。
ですが葉石さんによれば、この言葉の本質はまったく異なるものだと言います。
「おひとりさま」はもともと、ジャーナリストの故・岩下久美子さんが定義した言葉です。
精神的に自立しており、ひとりはもちろん、他者とも共存できる
真の意味での大人の女性という思いが込められていました。
岩下さんはストーカー研究の第一人者で、ストーカーになってしまう方の多くが
ひとりでいられないことに気付き、何故依存体質の人はひとりでいられないのかと考えるようになりました。
そして行きついたのが「おひとりさま」という考えでした。
人は生まれた時からひとりであり、死ぬ時もひとり。
精神的に自立をすること、自分軸を持つことの大切さが「おひとりさま」という言葉には込められているんです。
岩下さんが亡くなった後、その意思を受けつぎ「おひとりさま向上委員会」の代表となった葉石さん。
当時は女性を対象に、お店やエステなど、おひとりさまで楽しめる場所の情報発信をはじめ、ホテル等でリアルなイベントを行い、真のおひとりさま同士のコミュニケーションを図っていました。
その一方で、マスコミなどを中心に「おひとりさま」の意味が湾曲して使われてしまうことに、葉石さんは複雑な思いを抱えていたと言います。
「言葉」というのは時間とともに意味合いが変わってゆくものだと思いました。
こちらが定義を強要しても、受け取る側の心持ちによって「おひとりさま」のイメージは異なります。
岩下さんが定義した真の意味をきちんと理解して欲しいというのは本音ですが、結局、言葉に足かせをつけることはできないんですよね。
先日もテレビのリサーチ会社から電話があって、「おひとりさまってアラサーの独身女性ですよね」と聞かれ、滔々と真意をお話しましたが結局使われませんでした。
メディアとしてみれば、「おひとりさま=寂しい女」と定義付けしたほうがおもしろいんでしょうね。
ですが私としてはこれからも地道に、「おひとりさま」の真意は訴えていきます。
「おひとりさま」=精神的に自立した女性。
イメージでは、それはステキな生き方をする女性像のように思えます。
では具体的に精神的に自立することで、何が変わってくるのでしょうか?
決定力が身に付くと思います。
基本的にひとりで行動すると、何事も自分で決めなくちゃいけませんので。
それは人生にも応用できて、転職の時期とか、結婚とか、「ここぞ」という時に迷わないので、思い通り&幸せな人生を歩めると思いますよ。
私も近々、再婚しますが入籍の時期は今しかないと思って決断しました。
多分、今回入籍しなかったら一生だらだらいくような気がするんですよ。
年女だし(笑)、年齢的にも「今」だなと思った次第です。
若い方々も今後、両親を亡くしたり、離婚したり、自分自身も年を重ねたりと、生活環境が変わっていく中で、「おひとりさま」の真意を自ずと理解できるようになるんじゃないかと思いますよ。