あまり直視したくはないことですが、「死」は私たちが必ず向き合わなければいけない現実です。
親も自分も、その時は必ずやってきます。
ですがエンディングがあるからこそ、限られた時間をめいっぱい自分らしく、濃くしていくこともできるのだと思います。
今回ご登場いただくのは、人材派遣会社から一転、海洋散骨をはじめとした各種葬儀をはじめ、終活コミュニティ『マザーリーフ』を主宰する、ライフネット東京代表取締役 小平 知賀子さん。
「死」を意識することが、よりよく生きるためのきっかけとなるという小平さんのお話、ご覧ください。
-もともとは人材派遣の会社に勤められていたというお話ですが。
「そうです。いろいろな業界向けの人材を扱っていたのですが、その中で葬儀にスタッフを出すセレモニー事業部を立ち上げた経験をしました。ただ後にその事業部を縮小する話になり、それを引き継ぐ形で独立をした、ということになります。また自分自身が散骨希望だったので、同じ希望を持つ人たちのために、海洋散骨などにも取り組むことにしました」
-そもそもなぜ、葬儀というところへ目が向いたのですか?
「実は自分の父親が突然死だったんです。私が28の時でした。母親から電話があり、お父さんが起きてこないので見に行ったら息をしていないと・・・その父の葬儀を体験して、その進め方や費用に関して、「これは違うのでは?」という部分がたくさんあったんですね。そんなこともあって自分なりにいろいろと勉強をしていたときに、会社のオーナーが葬儀を手掛けようと言い出し、その担当になったというのがおおまかな経緯です」
-小平さんの会社では葬儀だけでなく、『マザーリーフ』という終活コミュニティを開かれていて、注目を集めていますね。
「もともとはトータルライフサポートがしたいと思っていたので、終活コミュニティもその一環ではじめました」
-『マザーリーフ』では、どんなことをされているのでしょう?
「『マザーリーフ』はさまざまな葬儀の形を知るということにとどまらず、成年後見制度・エンディングノート・遺言と相続、尊厳死や延命、安心な老後の為に学ぶマネーの事・認知症と予防・終末期と看取りの事など、様々な世代に向けての勉強会やイベントを行っているのが特徴です。
これらの多様な取り組みを通じて、自分らしく生きるための学びの場にしていきたいという想いのもとでやっています」
-『マザーリーフ』には40代の方も参加されていますか?
「40代女性は結構多いです。『マザーリーフ』は同じように自分の人生を見つめようとする人たちや、親の老後や介護など課題を抱える人が集まる場なので、自然と交流も生まれます。そういう意味では、新たな人とのつながりが生まれる機会にもなっています」
-近くにある斎場のことや葬儀の方式といったカタログ的なことはわかるとして、いざ死に備えるというのはどこかつかみどころがなくて、またいつくるかもわからないものなので、なかなか手を付けにくいものだと思います。
「たしかにそうなんです。そこで頼りになるのがエンディングノートなんですね。エンディングノートの項目を埋めていくことで、自分自身の気持ちの整理がつき、なにをどのように準備すればいいかが見えてきます。ただこのエンディングノートは、意外と書くのが難しいんです。そこで『マザーリーフ』ではみんなで集まって一年間をかけて、ノートを埋めていきながら基本的な知識も学んでいくといった取り組みもしています」
-エンディングノートはシニアの人たちが、自分の最後をどうしてほしいか周りに伝えるためのものだけではない、ということですね。
「エンディングノートを書いておくと、いざという時の備えが出来上がりますので、“今”に集中して生きていくことができるようになります。また変化の激しい40代であれば、夢ノートとして“こうなりたい”という自分の希望や目標を一年に一度書いておく、というのもおススメ。自分を概観するのに役立ちます」
-エンディングノートと言うとなんとなく重い印象もありますが、自分の人生を見つめなおすきっかけになるんですね。
「エンディングノートなどを通じて“死”を感じることで、今を大切に生きなければ損だ と気づくことができます。毎日を充実して過ごすためにもぜひ一度、考えてみてほしいですね」
小平 知賀子 さん | ![]() |
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ライフネット東京 代表取締役 専業主婦から離婚を機に、人材ビジネス業界に就職。
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