言うまでもなく、日本は超高齢化社会。

最近では、デイケアサービスの名前が入った車もよく見かけるようになりました。

今回ご登場いただく國井 光枝さんも、そんな介護の一端を担う女性。

東京都大田区で、『うらら』という介護事業所を経営しています。

 

ですが國井さんが介護の世界に入ったのは2003年。

それまではまったく異なるお仕事に就かれていました。

 

「IT系や商社関係など、介護とは無縁の仕事をいくつか経験してきました」

 

そんなお仕事の中、40才になって結婚。

お相手は中学時代の同級生。同窓会をきっかけに再会し、交際がはじまるというドラマのような展開に。

 

「結婚はしたかったんです。ただ、本当は自立した関係になりたかったんですが、実際には依存をしあってしまいました。

結局、13年後に離婚して今に至っています」

 

この元夫との間で作ったのが今の会社。

その会社が今の國井さんの生活を支えることになるのだから、人生とはわからないものです。

 

「でもやっぱり介護の世界は大変です。最初は助成金をもらってなんとかなっていましたが、数年間は赤字状態。

資金的に回るようになってきたのはここ数年です」

 

あわせて人と人が深くかかわりあう現場だけに、人間関係や人の気持ちには気を使うそうです。

 

sj_20150820_1「最近では利用者さんの方がヘルパー慣れしてきていて、プロ意識に欠ける方だったりするとすぐに見抜かれてしまいます。

それでも介護業界は常に人材不足。いかにプロとしての意識を持ったヘルパーを育成・維持していくかは、ずっと続く課題ですね」

 

そんな國井さんは休みの日、ゆったりすることが多くなったと言います。

 

「昔は何も予定がないのが不安だったので、とにかくスケジュールをどんどん埋めていました。

でも今は逆に、何も予定がないことが贅沢だと感じられるようになりました。

飼っている猫とゆるゆると過ごすのが好きですね」

 

最近では、ヒプノセラピストとしての活動もスタートした國井さん。

 

「学生時代から心理学に関心があって、ヒプノセラピーにも興味を持っていました。講習会を受ける機会があって、そこから本格的に学ぶようになりました。

 

ヒプノセラピーとは催眠療法とも呼ばれ、催眠誘導という手法を使って普段閉じている潜在意識の扉を開け、潜在意識の中に注意を向けていく心理療法。

普段はアクセスできない潜在意識の中にある膨大な記憶の中から、必要な記憶をすくい上げ、問題解決や自己成長に繋げていく手法です。

 

「“自分が何者なのか”ということを知るのに、ヒプノセラピーはとても有効な手段です。

本当の自分が何を感じているのか・求めているのかを知りたい方にはおススメです」

 

介護という仕事に携わりながら、人間心理にも興味を持つ國井さんは、本当に人が好きなんだなと感じるのでした。

 

 

★ソロネーゼへの、7つの質問

 

― あなたにとって仕事とは?

「生活の糧であることはもちろん、自分が地に足をつけて生きていくのに必要なものです。私はいろいろな仕事を経験しましたが、無駄なことは何一つないと思っています」

 

― お金は貯める方ですか、使う方ですか? 将来に向けて蓄えていますか?

「お金は自分を動かすエネルギーだと思っています。必要以上に貯めようとは思わず、自分の行動を支える分だけあればいいです」

 

― あなたにとって住まいとは?(購入派? 賃貸派?)

「所有しようとは思わないです。旅行好きというのもあるのか、住まいというものに重きを置いていないですね」

 

― 結婚については?

「再婚するかどうかはともかく、パートナーがいることは大切だと思います。その相手を通じて、自分を知ることができますから」

 

― 夢や目標はありますか?

「何歳までに○○・・・という目標はなくて、今を生きることを大切にしています。どちらかというと感覚で生きていますね」

 

― どんな風に歳を重ねていきたいですか?

「昨年妹が亡くなったのですが、そのせいもあって“自分の残り時間”を常に意識しているようなところがあります。これからも今を大切にしていこうと思います」

 

― どんな人生だったら、幸せだと思いますか?

「人のためになるようなことができたら、それで幸せです」

 

國井 光枝 さん sj_20150820_kunii

有限会社うらら 取締役社長
介護福祉士
ヒプノセラピスト
語学の専門学校を卒業後、一般企業に就職。
3年目の夏、勤務していた会社が親会社から離れることになり、規模縮小に伴い希望退職を募ったのを機に退職。
渡米して、6週間ほど滞在。
夢にまで見たアメリカであったが、基本的に「生活」することは、どこにいても同じだと感じる。
この旅をきっかけに、自分の感情を素直に表現すること、つまり「自分を生きる」ことを理解し、この感覚が現在に至っている。
広告関係の仕事や秘書、コーディネーターなど、またIT企業での仕事を経験し40歳で結婚。
2002年の春、義父が病に倒れたことをきっかけに会社勤務の継続を断念。
2004年、夫と起業。
2006年、介護のうららを設立。
2010年、ヒプノセラピーを学び始める。
2013年に離婚、2014年から本業の傍ら、ヒプノセラピストとしてのミッションにも注力する。
「人のためになること」を目標に、日々の仕事に携わっている。