インドの伝統的医学であるアーユルヴェーダ。
日本では正式な医学として公的な認可は受けていないものの、インドでは正式な医療としてたくさんの病院も存在する、5000年以上の歴史を持った文化です。
インドでこのアーユルヴェーダを体験し、その奥深さに魅了され、ついにはインド政府公認の医師免許を取得、現在は日本でアーユルヴェーダスクールの校長を務めているのが安藤 るみ子さん。
まもなく50代を迎えるという安藤さんの人生は、実に起伏に富んでいます。
もともとは旅行の添乗員として、世界各国を飛び回っていた安藤さん。
仕事の中で知り合ったオーストラリア在住の日本人男性に熱烈な好意を抱かれ、そのまま結婚。
オーストラリアに移り住むことになります。
「結婚生活は10年間続きました。仲は悪くありませんでしたが、いろいろとすれ違いが出てくるようになってしまいました。でも心の底で“自分は幸せだと信じたい”という思いがあって、不幸な状態とは感じませんでした」
しかしそんな生活を続けていく中で安藤さんは、「自分は何のために生きているのか」ということを考え始めるようになります。
そして導かれるまま、一人でインドへ。
以前からその存在は知っていたというアーユルヴェーダを実際に体験し、衝撃を受けたそうです。
すっかりアーユルヴェーダに心酔してしまった安藤さん。
帰国してからもその思いは強まるばかり。
一方で生活環境は変わり、ご主人と日本へ戻り、北海道に住むことになったことで、その思いはあきらめざるを得なくなります。
「洞爺湖の近くにある宿泊施設で働き始めましたが、近くの有珠山が噴火。住んでいた社宅が危険区域に指定されたため、8か月の仮設住宅暮らしになってしまいました」
やがて一時的に帰宅の許可が降り、奇跡的に形をとどめていた自宅のドアを開けたとたん、
「室内に置いていた観葉植物が成長して、部屋の壁を覆っていました。あんな熱風の中でも植物たちはすくすく成長していたのかと思うと、噴火という現象も含めて、自然の力とその生命力の強さに圧倒されました」
その風景を見た瞬間、安藤さんの中でスイッチが入り「やっぱりアーユルヴェーダを真剣に学ぼう」と決意。
はっきりしなかった夫婦関係にも終止符を打ち、義援金として受け取った100万円だけを手に、36才で再びインドへ。
そこで、6年間にも及ぶ大学生活をスタートさせます。
しかしもともと身体が丈夫ではなかった安藤さん、現地の水や環境の影響で、幾度となく体調を崩したそうです。
また年間50万円の学費を支払うと、持っていたお金は一年でなくなってしまったそう。
そんなタイミングで高熱を出し、「もうここまでか」と覚悟をしたそうです。
「そんな時に知人に、大学の学長の所へ行って頼み込めと言われて・・・フラフラの状態で訪ねていったら、奨学金の申請を勧められました」
本来奨学金は入学前でなければ申請できないもの。
ところが運よく(インド側の対応が緩かったこともあり)奨学金を得ることに。
なんとか6年間大学に通い、医師免許を取得しました。
日本へ帰ってきた安藤さんは、アーユルヴェーダを教えるスクールを開校。
多くの生徒にその文化・技術を教えるとともに、医療機関と連携して医療行為のコンサルティングなども行っています。
「とても歴史のあるアーユルヴェーダなので、その考え方や治療法の一部は形を変えて日本にも伝わってきています。私としては“アーユルヴェーダ”という形にこだわるのではなく、その人が健康な毎日を送れるようになればいいと考えています」
現在は鍼灸師の免許取得を目指し、昼はスクール運営、夜は学校通いという忙しい毎日を送る安藤さん。
「人の役に立てる自分になりたいですね」
現状にとどまらず、常に自分を進化させている印象の安藤さん。その原動力は・・・
「人って、先のことを考えれば不安になり、過去を振り返れば後悔することが多いと思います。だから“今”を一生懸命、楽しく生きて、そんな一日一日を続けていくことが大事だと思います。あと、笑ってないとダメですよね」
そう言って、顔いっぱいの笑顔を浮かべる安藤さんは、実に清々しい人なのでした。
★ソロネーゼへの、7つの質問
― あなたにとって仕事とは?
「自分の使命をみつけるための道具だと思います。仕事を通じて、私、このために生きてるという実感が持てたら最高ですね」
― お金は貯める方ですか、使う方ですか? 将来に向けて蓄えていますか?
「お金は自分が自由になるための手段だと思いますますので、どちらかと言うと使うほうです。お金は自分の感情を映すものなので、よくない感情を持つと逃げていくような気がします」
― あなたにとって住まいとは?(購入派? 賃貸派?)
「休まる場所は大事ですが、身軽でいたいので賃貸派です」
― 結婚については?
「実は若いころからあまり結婚には興味がなかったんです。ただ結婚・離婚やそのほかいろいろな経験をしていくなかで、この崎パートナーがいたら楽しいだろうな、とは思うようになりました」
― 夢や目標はありますか?
「自分をリセットしてパワーチャージできるような、みんなが集まれる場所を作ってみたいです」
― どんな風に歳を重ねていきたいですか?
「アーユルヴェーダは若返ることが軸となった考え方なので、年齢の呪縛から離れ、歳に縛られずに生きていければと思います」
― どんな人生だったら、幸せだと思いますか?
「新しい発見が続くような人生。過去にとらわれずに創造していく人生を送りたいです」
安藤 るみ子 さん | ![]() |
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株式会社会社スヴァルナアーユルヴェーダ代表取締役社長 安藤るみ子スヴァルナアーユルヴェーダ・スクール校長 インド政府公認 アーユルヴェーダ医師
1966年 兵庫県生まれ。 1994年 オーストラリア在住中にインド哲学とアーユルヴェーダに出会い渡印を繰り返す。 その後、日本へ帰国し北海道に移り住むが、有珠山の噴火で住んでいた家が全壊区域となり 避難所暮らしが続いたため、再び渡印を決意する。 2002年 インド国立グジャラート・アーユルヴェーダ大学医師課程に入学し、アーユルヴェーダ医師免許を取得。 6年間の学生生活ではほとんどインドから出国することなく、アーユルヴェーダの勉学に励む。 2008年 帰国後NPO法人日本アーユルヴェーダ研究所に勤務。 アーユルヴェーダに関するセミナーやTVなどのメディアへの出演や海外講師を招いた通訳などを担当し、幅広い分野で活躍。 2011年 独立し日常に根差したアーユルヴェーダを目指し「食のアーユルヴェーダ」のスクールを全国各地で開催し講義活動を行う。 2012年 株式会社スヴァルナアーユルヴェーダを設立し代表取締役に就任。 スヴァルナアーユルヴェーダ・スクール校長として、肉体と精神と魂のバランスを提唱する、ホリスティックなアーユルヴェーダの普及活動を行う。その他個人カウンセリングや毎年開催するインドツアーが定評である。
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