新入社員や配置換えなど、春は職場でも新しい人と出会う季節。
ただ、はじめて会った人とのコミュニケーションは悩みのタネにもなりやすいものですよね。
特に、部下・上司・同僚女性・同僚男性とつながっている大人女子の場合、四方から囲まれているような状態。
コミュニケーションがうまくいかないと仕事のモチベーションにも影響してしまいます。
今回はより良い職場コミュニケーションと、自分が気分よくいられる方法を、コミュニケーションのプロである吉戸 三貴さんに聞いてみました。


◆部下との円滑なコミュニケーションのポイント

思い通りに動かない部下を見て、「まったく、ゆとり世代なんだから・・・」と、嘆いてしまうことありませんか?
そんなジェネレーションギャップの壁を越えて、円滑なコミュニケーションから成果を導き出すポイントは?

「部下とのコミュニケーションで大切なポイントは3つあります。

①目指すゴールを明確にする。
②リーダー(上司)として、最後は何があっても責任を取る姿勢をハッキリさせる。
③相手(部下)が仕事で大切だと感じているポイント(例:休日、評価など)や、必要としていること(例:途中でアドバイスがほしい、自由にさせてほしい)を踏まえて、それにあわせた伝え方をする。

大きな方向性と枠組みを共通で示したら、あとは個々人に注意を払い、安心感を与えて、気持ちよく動いてもらえる方法を考えます。
タイプにもよりますが、全体的に男女別では以下のようなポイントがあります。

《部下が男性の場合》
目標や期限などは明確に数字で説明し確認する。
性別を必要以上に意識せず、仕事上の役割としてシンプルに接する。

《部下が女性の場合》
結果だけではなく、頑張りや過程も含め評価する。
気にかけている、ちゃんと見ているよというサインをこまめに出す。

という点を意識すると良いと思います」


◆上司との円滑なコミュニケーションのポイント

自分の提案や意見がなかなか認められない。
「まったく、あの上司は私のことわかってないし、評価していない」
と口にする前に・・・

「上司に限ったことではありませんが、誰かのサポートを得たいと思ったら、その相手との間に信頼関係があることが大切です。
信頼は一日でできあがるわけではなく、日頃のコミュニケーションの積み重ねなので、報告・連絡・相談+挨拶・感謝をきちんとするという、基本中の基本を忘れないことが重要になります。
ただし、自分では「しっかり実践しているつもり」でも、相手がそう思っていなければ、していないのと同じなので、上司の考え方のクセや報告されるタイミングの好みなどを踏まえた上で、行動に移すと良いと思います。
報告ひとつをとっても好みがあります。メールか口頭か。タイミングはいつか。どの順番で話すと理解してもらいやすいかなど。
面倒に感じるかもしれませんが、ほんの少し工夫するだけで、上司が理解してくれる度合は格段にあがりますし、仕事全体を進めやすくなると思います。

上司への気遣いは、感謝として伝えます。
ねぎらいだと部下に対するような対応だと受け止められてしまうので、注意が必要です。
休暇をもらった、企画を通すためにサポートしてもらったなど、日々の出来事を当たり前と思わずにこまめに感謝を伝えましょう」


◆同僚女性との円滑なコミュニケーションのポイント

女子どうしのコミュニケーションって、時に面倒な場面もありますね。
変なウワサに振り回されたり、誰かとくっついたり離れたり、「あー、めんどくさ」と感じてしまう前に・・・

「女性同士のコミュニケーションにおいては、何事も“すぎない”ことで、ストレスをためずに過ごせると思います。ポイントは3つです。

①相手に求めすぎない。
職場の同僚との関係は、気が合う友達とは違います。
会社という枠組みの中でお互いに仕事上の基本ルールを守り、ある程度快適に仕事を進め、結果を出していく場です。
様々な個性や年代が集まる場所ですから、自分の常識やルールを元に「こういうもの」「こうあるべき」と考えすぎてストレスをためないようにしましょう。

②想像しすぎない。
気遣いができる、状況を察して行動できるというのは素晴らしいことで、女性としてしばしば求められることではありますが、時には悪い方向に想像を膨らませて、自分で勝手に苦しくなってしまうことも。
たとえば、「お茶を出すのが遅かったので、気が利かないと思われているのではないか」「飲み会を断って感じが悪いと言われているのではないか」など、勝手な想像ばかりをして疲れないようにしましょう。
もし、お茶を出すのが遅かったのであれば次は気を付けて早めにする、飲み会を断るのであれば具体的に理由を伝えたり3回に1回は参加する努力をしたりするなど、想像ではなく行動することで対応しましょう。

③頑張りすぎない。
相手に求めすぎないのと同様、自分にも求めすぎないことが大切です。
「こうしなくてはいけない」とがんじがらめにならずに、役割分担をしているつもりで、自分が得意なこと、苦にならないことは積極的にしつつ、他の人の方が得意なことはかわりに任せるなど、上手にさじ加減をするとストレスがたまりにくくなります」


◆同僚男性との円滑なコミュニケーションのポイント

ともすれば敵視される可能性のある同僚男性。ちょっとでも自分の成果が出ないとひがんだり攻めてきたり。
「まったく女々しいったら、ありゃしない」
そんなストレスを溜めないためには。

「同僚男性との場合でも、職場はいろいろな人が当たり前という意識を持つことが大切。
その上で、感情として好きになってもらうのではなく、相手の役に立つ存在になることを目指すのがポイントです。
相手とは違う得意分野(土俵)で一目置かれる存在になれれば敵対することなく、お互いに協力し合えるようになります。
相手が得意な分野でサポートをしてくれたり、何かを教えてくれたりしたら、そのことについて惜しみなく感謝をして周囲にもそのことを発信すると、さらに良い関係が築けるでしょう」


職場コミュニケーションで少々息苦しくなってしまっている皆さん、気持ち良い環境を手に入れられるよう、アドバイスを参考に少しずつ行動していってはいかがでしょうか?

 

吉戸 三貴 さん
沖 縄生まれ。小さい頃からコンプレックスだらけで、努力しては挫折の繰り返し。26歳、パリ留学をきっかけに人生を楽しみつくそうと決意し、憧れのPRの世 界へ転身。国立劇場おきなわや沖縄美ら海水族館をへて、オズマピーアールへ。在職中、表参道に住み働くライフスタイルや、短時間で人に覚えてもらえる独自 のコミュニケーションメソッドが注目され、各地でセミナーを開催するようになる。

より多くの人に、服を着替えるようにコミュニケーションを着替える楽しさを知ってもらいたいとの思いから、株式会社スティルを設立。働く女性を中心に、コミュニケーション課題の解決や目標達成のサポートをしている。

◆株式会社スティル ホームページ