今回の特集で取り上げるテーマは、「仕事」です。

言うまでもなく、お金を得るためには働かなければなりません。

特に、この先独身で生きていくとなった場合にはより一層、“自分の食い扶持(ぶち)は自分で稼ぐ”覚悟が必要です。

そのためにはどんな視点で働いていくことが大切になるのか、キャリアコンサルタントの高村 祐規子さんと一緒に考えてみたいと思います。

現実を見て見ぬふりをしたい気持ちもわかりますが、自分らしい人生を送るために、どうか最後までおつきあいください。

 

●まずは押さえておきたい、日本の現状

 

日本に住み、働く以上、私たちは否応なく国の現状や政策の影響を受けることになります。

そこでまずは少し俯瞰から、今の日本の状態を高村さんに挙げていただきました。

 

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◇2017年、人口の多い団塊の世代が70歳となる。

 

その5年後の2025年にはこの世代がすべて後期高齢者になり、かかる医療費が急激に高くなります。

つまり、国の財政が厳しくなるわけです。

 

高村さん「前期高齢者の場合、一年間に国が負担する一人当たりの医療費は約8万円ですが、75歳以上の後期高齢者になると5倍近い38万円に上がります。また団塊の世代の数は約806万人にもなります。今年の新成人の数が121万人なので、いかに多いかがわかると思います」

 

高齢化が進めば当然、要介護になる人の数も増えます。

そうなれば介護に関わる国の負担も増えていきます。

私たちが日々負担する消費税は、こういった社会保障費の財源となるわけですので、今後の税率アップは避けられない状態です。

 

◇国民年金の未納者の割合は4割に達している。

 

年金をもらう人はどんどん増えているのに、昨今の景気状況により、年金を払えない人が増えています。

また「どうせ自分はもらえないんだから」と考えて、払わない人も。

 

こういった状況を受け、「公的年金の支給開始を、選択制で70~75歳まで引き上げることができる制度について検討している」と、2014年に厚生労働大臣が発言しています。

ただしこれは、一律に支給開始年齢を引き上げると反発が大きいため、そこへ向かう地ならしとして行われる政策という見方があります。

 

高村さん「ある試算では厚生年金についても、2038年には積立金がゼロになるという結果が出ています」(鈴木 亘「社会保障亡国論」より)

 

◇非正規で働く人は増加の一途。

 

男女あわせた全体的な傾向として、1990年に881万人だった非正規雇用者数は、2014年に1962万人と2倍以上になっているのに対し、正規雇用者数は1990年代半ば以降、ほとんどの年で減少しています。

(総務省統計局ホームページより)

 

女性全体についてみると、給与所得者のうち約40%が非正規雇用者という統計も出ています。

主婦がパートで働くケースも含まれるので割合が大きくなっているとも言えますが、独身女性についても非正規で働く人が増えているのは実感できると思います。

(国税庁ホームページより)

 

同じく国税庁ホームページによると、正社員は非正規写真に比べ2倍以上の平均給与になっています。

 

高村さん「とはいえ正規雇用の方の含め、実質賃金は1997年以降減り続けているというデータもあります」

 

◇経営スタンスの変化

 

私たちに給料を支払う企業側の姿勢も、時代とともに変化しています。

とある大手製薬メーカーは全社的には54%もの増益でありながら、同時期に400人以上の希望退職者を募集しています。

つまり全体的な経営状態が良くても気は抜かず、不採算部門は積極的にリストラの対象にしていくという、取捨選択のスタンスです。

大企業だからといって大船・・・ということはなさそうです。

 

◇AIの台頭

 

ソフトバンクが発表したpepperが話題となりましたが、彼らに搭載されるAI(人工知能)は日々、目覚ましい進化を遂げています。

これらが進化していくと、これまで人間が行ってきた単純作業や事務作業は、すべてAIに取って代わられると言われています。

オックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授と野村総合研究所が行った研究で、「10~20年以内に、日本で働いている人の49%の仕事がAIで代替可能になる」という結果を発表しています。

 

高村さん「アメリカではすでに、パラリーガル(弁護士の業務を補助する人間)の業務をAIが行っている事例が出始めています。また近い将来、AIが導き出した答えに沿って人間が働くという、“AIの下請け仕事”が発生してくるとも言われています」

 

愛嬌たっぷりのpepperが、恨めしい存在になる日もさほど遠くはなさそうです。